抄録
上水道施設としての配水池は飲料水の貯留池であり,地下式の配水池は側壁と頂版,底版,中間壁により囲まれた低層構造物であることが多く,変形抑制効果が期待できる.一方,計算の簡略化から,実務レベルの設計では二次元解析モデルが標準的に用いられてきた.同一の構造特性を持つ断面が連続する構造物の場合は二次元解析を用いても立体的な剛性をある程度モデル化することができるが,形状が複雑な場合はモデル化は困難である.ここでは,複雑な耐震壁配置とブロック分割された大規模地下式RC配水池をケーススタディーとして,二次元静的解析と三次元静的解析結果を比較し,耐震設計にかかる三次元静的解析の適用性を述べる.結果,二次元静的解析では不経済な設計となり,三次元静的解析により合理的な設計が可能となることが示された.