抄録
本研究では,複合構造部材を対象とした非線形有限要素解析6種類の結果を用いて,コンクリートの損傷に基づき,複合構造部材の損傷や破壊を評価する手法の適用性を検討した.損傷指標には,空間平均化した偏差ひずみの第2不変量と正規化した累加ひずみエネルギーを選定した.複合構造は複雑な形状となり,局所的に要素寸法分割およびモデル化を行うことが必要となる場合が多く,応答値だけでなく,限界値の算定時にも要素分割の影響を極力低減させる処置が重要となる.適用した損傷指標により,コンクリートの材料損傷が支配的となる各種複合構造部材の損傷と破壊過程を評価でき,非線形有限要素解析により安全性の判定に活用できることを示した.