2016 年 72 巻 5 号 p. II_177-II_190
鋼コンクリート複合構造の優れた性能を引き出すために,鋼材料とコンクリート材料あるいは鋼部材とコンクリート部材の間で応力を適切に伝達させる必要がある.この応力伝達を達成するためにずれ止めと呼ばれる部材(部品)を取付ける場合が多く,このずれ止めは鋼とコンクリートの間の変位(ずれ)を機械的に拘束することによって応力を伝達することになる.したがって,ずれ止めは鋼コンクリート複合構造において鍵となる部材であると言える.
土木学会複合構造委員会内に設けられた「複合構造ずれ止めの性能評価法に関する調査研究小委員会」では,特に,ずれ止めとして一般的な頭付きスタッド,孔あき鋼板ジベル,形鋼シアコネクタを対象として,広範な調査研究を行った.本稿では,その活動を通して取りまとめた報告書の概要を示している.