抄録
2016年熊本地震は,地震調査研究推進本部による長期評価が行われている活断層の活動により発生した地震であった.益城町に顕著な被害を生じさせた4月16日1時26分頃発生した地震の規模はMJMA 7.3であったが,震源断層に対応する布田川断層帯布田川区間の事前の評価ではMJMA 7.0と,実際に発生した地震のほうが大きな地震規模であった.
本検討では,KiK-net益城サイトを対象として,観測された地震動と事前の活断層評価に基づき推定される地震動との比較を行った結果,加速度応答スペクトルで比較すると観測記録の大きさに近い地震動が推定されたが,住宅被害などにとって重要な周期1秒前後の周期帯では観測記録を下回る結果となった.