抄録
2011年東日本大震災では,多くの住宅が液状化により傾斜し住人に健康障害があらわれた.家屋の傾斜が人々の生活や健康に与える影響は大きいことから,液状化による家屋の傾斜被害について明らかにすることが重要であると考え2016年熊本地震発生後に,液状化発生地域における現地調査を行った.熊本県熊本市の河川流域に位置する東区・南区を対象とし,家屋の傾斜方向と傾斜角度を測定した.微地形区分や付近のボーリングデータと被害の程度を比較し,液状化の発生状況や要因について考察した.また,これらの調査結果を地図上に示すことで,家屋の傾斜の大小については家屋の造りに関係するものもみられたが,河川方向に傾斜している傾向があることから家屋の傾斜方向は地形との関係があることがわかった.