2019 年 75 巻 4 号 p. I_25-I_35
地震時に活断層周辺で生じる地表変位を予測することは,変位が社会基盤施設に与える影響を考察する上で重要である.二つの断層面が近接する場合,地震時に一方の断層面に縦ずれが,もう一方の断層面に横ずれが生じる事例が報告されており,この現象はスリップパーティショニングとして知られている.スリップパーティショニングはいくつかの事例報告があるが,その発生条件については未解明な部分が多い.本研究ではスリップパーティショニングが生じやすい条件を把握することを目的として,断層面配置および広域応力場をそれぞれ変化させて784ケースにおよぶ有限要素解析を実施した.結果,スリップパーティショニングを発生させ得る断層面傾斜角および応力場方位の組み合わせについての定量的な知見を得ることができた.