2019 年 75 巻 4 号 p. I_357-I_372
予備せん断システムとは,中小規模橋梁の両橋台に設置したゴム支承を,常時状態で橋台の背面方向に予備せん断させて耐震性の向上を図る構造である.既設橋台は前面方向にL1地震動で設計されており,背面方向には橋台背面土の水平抵抗が期待できる.解析は橋脚が固定支持,両橋台が可動支持の鋼2径間連続非合成鈑桁橋を対象とした.検討の結果,ゴム支承はLRBによる免震設計が,RBより効果があった.L2地震動に対して橋脚は予備せん断システムにより容易に耐震性を満足し,橋台の前面方向も同じく予備せん断システムにより耐震性が確保できた.一方,橋台の背面方向の耐震性は背面土の水平抵抗により改善され,締め固めや改良された背面土により橋台の弾性挙動も期待できた.