2019 年 75 巻 4 号 p. I_464-I_475
兵庫県南部地震や東北地方太平洋沖地震といった地震によって引き起こされる過去の大規模地震災害において,共助の重要性と公助の限界が明らかとなった.また,近年では地震災害時において,災害時要配慮者の支援体制の強化が喫緊の課題となっており,災害時要配慮者こそ共助によるケアが必要であると考えられている.本研究では,大規模なアンケート調査から,地域住民による共助を行う意思に関する質的な情報,また,国民健康保険データから共助を必要とする災害時要配慮者数の量的な情報を把握することによって,「質」,「量」の両面からの共助実態を明らかにすることを目的とする.国民健康保険データ及びアンケート調査より得られたデータを活用することにより,「町字」という詳細な単位での共助実態を明らかにすることが可能となった.