2022 年 78 巻 1 号 p. 127-138
本論文では,リーン二相系ステンレス鋼の疲労試験データの蓄積および疲労強度を明らかにすることを目的に,突合せ溶接継手の疲労試験を実施した.ステンレス鋼は優れた耐食性を有することから土木構造物への活用が期待されるものの,その疲労試験データは不十分である.本論文において,応力比0または0.3,溶接止端非仕上げまたは余盛削除の条件で,ステンレス鋼突合せ溶接継手の疲労強度を検証した.また,試験片の溶接止端形状および角変形量を計測し,ステンレス鋼の溶接部における基礎情報を取得した.疲労試験の結果,リーン二相系ステンレス鋼突合せ溶接継手は,いずれの条件においても,SUS304より高い疲労強度を示した.そして疲労試験結果の回帰分析から,本研究のステンレス鋼突合せ溶接継手の疲労強度を表すS-N曲線を求めた.