2022 年 78 巻 2 号 p. 269-286
複雑な振動モード形状を有する鋼鉄道橋の200Hzを超えるような高次部材振動モードは,沿線騒音などとの関連が指摘されてきたが,センサ数や同期精度の制約から十分に解明されていない.本研究では,相反定理と位相基準化手法により,多点計測を多点加振に代替し,現地で実施可能な高次部材振動モードの同定法を用いて高次部材振動モードを同定した.精度を検証したうえで,直結軌道を有する鋼鉄道I桁橋部材へ適用し,ウェブ7次などの高次かつ複雑な1200Hz程度までの振動モードを同定できることを示した.また,列車通過時の高次部材振動モードの卓越性状の分析から,対象橋梁では200~600Hzの高次部材振動モードが周期的なレール凹凸に起因した加振振動数との共振により卓越することなどを実証的に明らかにした.