抄録
今後,発生が想定されている南海地震に対して,被害を軽減するための早急な対策が必要となる.特に,木造住宅が比較的密集した市街地では,二次災害として地震火災の発生が懸念される.地震発生時の気象条件次第では,火災延焼が広域に及ぶため,甚大な被害となる可能性が高い.著者らは,地震火災リスクを住民に提示し,防災意識を持たせることが大事であると考えている.
本研究では,香川県丸亀市と愛媛県松山市の2地域を対象として,著者らが開発した大震時火災延焼シミュレーション・システムを住民に提示する前後で,自助・共助・公助に関するアンケートを実施している.そして,事前事後アンケートの回答結果を比較分析することで,開発したシステムが住民の意識に働きかける効果を分析している.最後に,今後のシステムの課題とリスクコミュニケーションへの活用方法について述べている.