2022 年 78 巻 2 号 p. I_55-I_67
愛媛県宇和島市吉田町では,平成30年7月豪雨における被災者に対する生活再建支援が進められている.被災者の生活再建を進めていく上では,被災者の孤立リスクを軽減すると共に,彼らが自分達の暮らしを肯定的に評価し,日々の暮らしに幸せを感じられるかどうかが課題となる.本研究では,宇和島市の生活再建支援プログラムの内容や課題を踏まえて,吉田町の被災者350世帯を対象に,被災者の孤立リスクや生活満足度(主観的幸福感)を把握すると共に,その規定要因を検討した.その結果,被災者の生活満足度は,ソーシャルサポート意識や民間支援との間に強い関連性が認められた.また,被災後の移転者と非移転者の間で孤立リスクや生活満足度の規定要因に顕著な差異が認められた.これらの結果より,移転者には新しい環境において孤立を感じないように配慮することの重要性が示唆された.