抄録
山岳トンネル工事を安全かつ効率的に進めるためには,プロジェクトの各段階で得られるさまざまなデータを有効に活用して切羽前方の地質性状を高精度に予測し,当初の掘削計画や事前設計を合理的に適宜更新する,いわゆる情報化設計施工が必要不可欠である.施工中のパターン変更についてはこれまで,熟練技術者の知識や経験にもとづいた判断に頼ることが多かったが,少子高齢化による作業員不足や社会資本整備に対するコストダウンを要求する世論に対して,山岳トンネル工事をさらに合理化する必要がある.そこで筆者らは,これまでに構築してきた様々なトンネル切羽前方地質の予測手法を,施工段階での目的に応じて最適化し,統合させたシステムにした.本論文はそのシステムの概要と実際の現場における適用を通してその有用性を検証した結果を示したものである.