山岳トンネル工法により施工される通常断面の道路トンネル一般部の覆工では,設計巻厚30cm,一軸圧縮強度18N/mm2のプレーンコンクリートが標準的に採用されているが,覆工の機能・性能およびその評価手法は十分に体系化されておらず,覆工に新技術を導入する際の課題となっている.本論文では,覆工の耐荷力の評価手法の確立に向け,断面耐力による評価方法および構造全体の耐荷力による評価方法から構成される覆工の耐荷力評価フローを提案した.また,新技術の一例として薄肉高強度覆工を対象に耐荷力の評価を行うことで本フローの適用性を確認した.構造全体の耐荷力による評価手法を用いることで,覆工の段階的な不安定化や不安定化する際の破壊モードを考慮した評価が可能であり,より合理的に覆工の耐荷力を評価可能であることが明らかになった.
本研究では50gの遠心加速場において,密と中密の砂地盤に対して二次元落とし戸実験を行い,テールボイド程度のグランドロス率から過剰掘削に対応する大きなグランドロス率によって生じるトンネル上部地盤の変位伝播プロセスを再現した.地盤中の変形進展挙動を画像解析による変位計測により調べ,変形挙動が地盤応力,支持力に与える影響をコーン貫入試験,土圧計測によって検討した.その結果,小さなグランドロス率における緩み領域は,到達深さ・幅とも相対密度が小さな砂の方が大きくなるが,過剰掘削量が大きくなると,相対密度が大きな砂は顕著な下方変位が生じる領域幅は小さいが,上部への変位の進展高さは大きくなることが分かった.
音波照射加振とレーザドップラ振動計を用いた非接触音響探査法では,遠隔からコンクリート内部欠陥が検出可能である.しかしながら,測定表面が不陸な吹付けコンクリートに対しては,実は供試体を用いた基礎検証実験は実施されていなかった.そこで今回は,吹付けコンクリート供試体を製作して,非接触音響探査法を用いた基礎検証実験を実施した.実験結果から,先行実施された地下発電所のある地下大空洞天井部での実証実験と同様に欠陥検出が可能であることを明らかにした.
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