抄録
笹子トンネル天井版落下事故の教訓として,インフラ点検を定期的に行っていても,その網から漏れ,落下などの第三者被害に結びつく構造物,付属物があることが判った.さらに,従来実施されている点検手法では,付属物を壁面に固定する後打ちボルトの健全性を十分に把握しきれないことも明らかにされた.
一方,消費者向け製品に用いられる経済的で高性能なセンサー類の技術向上や,ビッグデータのハンドリング技術向上が,「どこでもセンサー」と呼ばれるインフラでのソーシャルデバイス化を促進している.
本研究は,供用中の道路トンネルに付属物として設置されている照明器具に着目し,MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)技術による商用センサーを活用したセンシング方法を提案し,実用性の検証を行った.さらに,定期点検との関係を整理し,トンネル保全モニタリングシステムとしての提案を行った.