2019 年 75 巻 2 号 p. I_30-I_40
東京都下水道局により施行されている隅田川幹線整備事業のうち,隅田川幹線の中間部の拡幅を目的とした「隅田川幹線その3工事」の大規模放射状凍結工について,変位データ等をもとに施工結果の分析を行った.その結果,凍土造成時には,凍結領域内の予測凍上量と実測隆起量がおおむね一致するが,地表面においては,未凍結地盤に介在する軟弱粘性土層の圧密等が原因で,実測値の方が小さくなる傾向があることがわかった.また,凍土維持運転時の凍土の成長抑制対策として適用した国内初の全周にわたる放射状温水管や,強制解凍時に行ったセメントベントナイトの凍結領域外への充填に関し,凍上および解凍沈下に対する低減効果の高さを確認することができた.