抄録
近年,都市部において50mm/h以上の集中豪雨によって,地下空間に雨水が流れ込む場合がある.車が水没する地下空間は,アンダーパスだけでなく地下駐車場もあることから,本研究では,浸水した地下駐車場で車が水没した場合,水深が何mになるまでに車外へ脱出する必要があるかを調べた.また,構造格子モデルを用いた浸水解析,実験結果を用いた地下駐車場からの避難解析を併用することで,地下駐車場からの避難開始の遅れが避難の安全性にどのような影響を与えるのかを検討した.実験結果から,セダン車での脱出限界水深を得ることができ,解析結果から,水没車に閉じ込められた場合,避難開始の遅れが避難の安全性に大きく影響することや,駐車場の階層による危険度の違い,成人男性と高齢者女性による危険度の違いなどを定量的に確認できた.