2020 年 76 巻 1 号 p. 1-13
地下鉄の異高型複断面トンネルの耐震性については,具体的な検討方法が示されていないことから,模型実験により地震時の動的挙動について検討した.単線箱型断面と異高型複断面の模型トンネルをせん断土槽内の模型地盤に設置し,初期状態の模型トンネルの断面力を確認したのちに,鉄道構造物の耐震設計で用いられるレベル2地震動を時間圧縮した入力波により加振した.その結果,異高型複断面では中壁に大きな曲げモーメントとせん断力が発生するとともに,載荷方向によって変形モードが異なることを把握した.また,三次元FEM解析による動的実験再現解析を行い,解析結果と実験結果が概ね同様となることを確認し,解析による検討方法の確立に必要な知見が得られた.