日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
岩盤のき裂ネットワークを考慮した不連続体解析手法の提案およびき裂進展解析
松原 仁江戸 孝昭原 久夫
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2012 年 2012 巻 p. 20120017

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抄録
岩盤中には多数の先在き裂がランダムに存在しており, 岩盤自体の力学特性や水理学特性に多大な影響を与える. しかしながら, 岩盤特有の多数の先在き裂を直接的に考慮し, かつ, 弾性変形から破壊(剛体移動を含む)に至るまでの過程を高精度に解析できる手法については未だ確立されていないのが現状である. 本研究では, 岩盤中に先在するき裂群をき裂ネットワークモデルでモデル化し, 複雑な先在き裂パターンを三角形メッシュの境界で直接的に考慮する. そして, き裂の不連続性に関しては移動最小自乗法を用いた近似解法にて考慮する, という新たな数値計算手法を提案する. 本手法では, 三角形が健全な状態にある場合は弾性状態を仮定し, 高精度な解を得ることが可能な回転自由度を有する一般化有限要素が適用される. すなわち, き裂ネットワークで定義された岩盤モデルに対して, 弾性状態から破壊, 剛体移動に至る過程を高精度かつロバストに解析できる手法の確立を目的としている. 数値解析例の結果より, 本手法によって得られるき裂進展パターンは, 既存の実験結果と高い精度で一致することが分かった. また, き裂ネットワークを考慮したき裂進展解析の結果, 得られるき裂パターンはき裂ネットワークに極めて依存した形で現れ, 局所的な破壊面を形成することが分かった.
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© 2012 The Japan Society For Computational Engineering and Science
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