2016 年 16 巻 p. 57-67
本研究は,子ども虐待対応における虐待を認めないケースへの初動対応のプロセスについて検討することを目的とした.児童相談所で虐待の否認事例の対応を経験したことがある者3名にインタビューを実施し,TEA (複線径路等至性アプローチ)を用いて分析を行った.その結果,児童相談所の援助者は,【一時保護の解除】の先にある【子どもの安全の保障】を目指して援助を行っており,虐待を認めないケースへの対応としては,【虐待認知】を得ることにこだわるのではなく,【保護者の話にも耳を傾ける柔軟な対応】を行った上で,【子どもの安全への焦点化】を行うことを重視していることがわかった.本研究より,家族と安全を中心に据え,【保護者とのパートナーシップ】を構築しながら【家族が主体となる安全計画作り】に取り組むことで,たとえ保護者が否認を続けるケースであったとしても,家族再統合を目指すことは可能であることが示唆された.