子ども家庭福祉学
Online ISSN : 2758-2280
Print ISSN : 1347-183X
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巻頭言
論文
  • 井出 智博, 佐藤 葵
    2023 年 23 巻 p. 1-13
    発行日: 2023/11/25
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル フリー

    社会的養護児童への自立支援は最も重要な支援のひとつであり,これまでにもその内容については議論が重ねられてきた.しかし社会的養護を経験した当事者の声を中心に据えて支援計画を立てることの重要性が指摘されているにもかかわらず,実際に彼らがどのような自立支援が必要だと考えているかに焦点を当てた研究は行われてこなかった.そこで本研究ではケアリーバー(N=15)へのインタビュー調査を通して彼らが必要だと考える自立支援の内容を広く収集した.KJ法に準じた分析の結果,インケア,リービングケア,アフターケアを通じて11のカテゴリーに分類される44の概念が抽出された.ケアリーバーはモデルとなる人の存在やそのモデルとのつながりを持てるようになること,段階に応じたメンタルヘルスに関するケアが提供されることが必要であると考えていたが,自立を間近に控えた段階ではなく,年少の頃から断続的に先を見越して自立支援が重ねられることを求めていることが明らかになった.

  • 榎本 祐子
    2023 年 23 巻 p. 14-33
    発行日: 2023/11/25
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル フリー

    利用者支援事業基本型及び母子保健型の利用者支援専門員と上司を対象にニーズアセスメントに関する全国調査を実施し,その結果を記述統計的に分析した.

    その結果,①基本型は50%以上が何らかのアセスメントツールもない状態で事業を実施し,母子保健型はアセスメントツールの活用は多かったが(71%)リスクアセスメント重視の傾向が見られた.②基本型の72%が保育士,母子保健型の87%が保健師で,社会福祉士は基本型で7%と活用度は低い.自己評価による資格別の強みと課題は,保健師はもっともアセスメントを実施しているが予防的視点の強化が必要,保育士は寄り添う力は高いがそれ以外のソーシャルワークの専門性の向上が必要,社会福祉士はもっともソーシャルワークの知識をもつが知識を実践に活かすことに課題がある.③ニーズアセスメントに意義が見出せず十分に実施されていない理由として,連携先のサービス不足が関連していることも示唆された.

  • 新川 泰弘, 榎本 祐子, 李 政元
    2023 年 23 巻 p. 34-47
    発行日: 2023/11/25
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,コロナ禍による心理社会的状況の変化に着目して,地域子育て支援拠点の支援内容に関する利用者満足度とソーシャルワーク的役割期待との関連性を検討することにある.支援拠点利用者を対象として調査した結果,コロナ禍の影響により,支援内容に関する利用者満足度の構成因子である基本活動と地域活動はともに利用後に低下したことが示唆された.さらに,オンラインを利用したり,子育てストレスや孤独感が高かったりすることによって,他機関多職種連携による子育て支援というソーシャルワーク的役割期待が高くなった.そして,子育てのストレスが高いことは,基本活動と地域活動の満足度の低下と関連し,子どもを叩きそうになることは,基本活動の満足度の低下と関連していることが示唆された.加えて,基本活動と地域活動の満足度が低下すると,他機関多職種連携による子育て支援というソーシャルワーク的役割期待が低くなることが推察された.

  • 林 萍萍, 山野 則子
    2023 年 23 巻 p. 48-61
    発行日: 2023/11/25
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学5年生と中学2年生およびその保護者を対象とした生活実態調査のデータを用いて,コロナ禍における子どもの抑うつの実態を捉えたうえで,抑うつの関連要因を検討した.分析の結果,小学5年生では11.4%,中学2年生では24.4%の子どもは抑うつ傾向があり,男子よりも女子のほうが抑うつのリスクが高いことがわかった.また,授業を理解できる,昼食をちゃんと食べている,就寝時間が規則正しい,部活動に参加している,家族は向き合ってくれると感じている子どものほうが,抑うつのリスクが低く,遅刻の頻度が高い,健康面で気になることが多い,誰にも相談できない,放課後一人でいる,悩みや気持ちを相談する機会がない子どものほうが,抑うつのリスクが高いことが示唆された.さらに,保護者の精神状態が子どもの抑うつと関連していること,低学年において,家族との関わりが子どもの心の健康により重要な役割を果たしていることが示唆された.

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