社会的養護児童への自立支援は最も重要な支援のひとつであり,これまでにもその内容については議論が重ねられてきた.しかし社会的養護を経験した当事者の声を中心に据えて支援計画を立てることの重要性が指摘されているにもかかわらず,実際に彼らがどのような自立支援が必要だと考えているかに焦点を当てた研究は行われてこなかった.そこで本研究ではケアリーバー(N=15)へのインタビュー調査を通して彼らが必要だと考える自立支援の内容を広く収集した.KJ法に準じた分析の結果,インケア,リービングケア,アフターケアを通じて11のカテゴリーに分類される44の概念が抽出された.ケアリーバーはモデルとなる人の存在やそのモデルとのつながりを持てるようになること,段階に応じたメンタルヘルスに関するケアが提供されることが必要であると考えていたが,自立を間近に控えた段階ではなく,年少の頃から断続的に先を見越して自立支援が重ねられることを求めていることが明らかになった.