抄録
子ども虐待において、虐待者の被虐待歴はリスク要因である。本研究は、妊婦が培ってきたアタッチメントの質(IWM)と親になることに対する態度との関係が、妊娠各期に、どのような特徴があるかを明らかにすることを目的とする。妊婦1448名を対象に調査用紙を配布し郵送にて728名より回収し、有効回答数は726名であった。その結果、妊娠初期では、IWMの傾向の違いによる親になることに対する態度に差は少なかった。妊娠経過に伴い、secure傾向の強い妊婦は、乳幼児や子育てに対して肯定的な態度、anxiuos avoidant傾向の強い妊婦は否定的な態度で、特にavoidant傾向の強い妊婦はより否定的であった。また、親になることに対する態度の中では、感情的・行動的要素はIWMの傾向との関連が強いが、認知的要素との関連は妊娠各期を通して弱かった。子ども虐待の予防のため、妊娠初期から、さらに認知的側面からのアプローチが必要である。