日本小児看護学会誌
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子ども虐待の予防に向けた育児支援 I : 妊娠各期における妊婦のInternal Working Modelと親になることに対する態度の関連
楢木野 裕美鎌田 佳奈美鈴木 敦子
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2002 年 11 巻 1 号 p. 51-57

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抄録
子ども虐待において、虐待者の被虐待歴はリスク要因である。本研究は、妊婦が培ってきたアタッチメントの質(IWM)と親になることに対する態度との関係が、妊娠各期に、どのような特徴があるかを明らかにすることを目的とする。妊婦1448名を対象に調査用紙を配布し郵送にて728名より回収し、有効回答数は726名であった。その結果、妊娠初期では、IWMの傾向の違いによる親になることに対する態度に差は少なかった。妊娠経過に伴い、secure傾向の強い妊婦は、乳幼児や子育てに対して肯定的な態度、anxiuos avoidant傾向の強い妊婦は否定的な態度で、特にavoidant傾向の強い妊婦はより否定的であった。また、親になることに対する態度の中では、感情的・行動的要素はIWMの傾向との関連が強いが、認知的要素との関連は妊娠各期を通して弱かった。子ども虐待の予防のため、妊娠初期から、さらに認知的側面からのアプローチが必要である。
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© 2002 一般社団法人 日本小児看護学会
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