日本小児看護学会誌
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特別講演・市民公開講座
特別講演
研究
  • 富田 美香, 大西 文子, 岡田 摩理
    2025 年34 巻 p. 1-9
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     目的:小児看護専門看護師が長期入院した子どもをもつ家族の家族機能をアセスメントするために行う情報収集時の具体的な注意点を明らかにする。方法:長期入院が多数ある病棟に勤務する小児看護専門看護師に個別のインタビュー調査を行い、質的分析をした。結果:6カテゴリーと16サブカテゴリーを見出した。小児看護専門看護師は【家族を尊重し、ありのままの情報を引き出す】、【家族との関係性を作りながら、家族の真意を探る】という基本的な姿勢をもち、【家族のおかれているいまの状況をアセスメントしながら聞く】、【聞くタイミングを逃さない工夫をする】、【気になる情報を深め、広げる】、【チームで効果的に情報を取ることを意識する】の技を活用していることが見出された。考察:小児専門看護師の基本的な姿勢、情報収集の技、チームで情報を取る意識をほかの看護師が情報収集に活用できるようにしていく必要がある。

  • 加藤 美香, 上田 敏丈, 堀田 法子
    2025 年34 巻 p. 10-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     「医療的ケア児(医ケア児)」の就学先選考プロセスと、その過程での保護者の思いを明らかにし、就学前支援の示唆を得ることを目的とした。就学または就学予定の医ケア児の保護者5名に、就学先決定要因、就学先決定時の思いなどについて半構造化面接調査を行い、SCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いて分析した。就学先選考プロセスには「伝聞的情報の収集」、「マッチング」、「体験的情報の収集」からなる就学活動期、就学先決定期があり、全期を通しての精神的サポートがあった。保護者の思いには、就学情報取得の困難感、複数の葛藤、就学先選択に影響する条件の優劣、学校側の態度に付随する思いがあった。保護者の主観的な価値観の明確化、必要十分な就学検討情報総量の獲得、精神的サポートの充実は、安心感、納得感のある就学先選択の支援となる示唆を得た。

  • 小笠原 史士, 福井 美苗, 北尾 美香, 藤田 優一
    2025 年34 巻 p. 18-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     思春期がん患者と親のエンドオブライフの意思決定を支えるために看護師が実践している具体的な内容について明らかにするため、小児看護経験5年以上で思春期がん患者のエンドオブライフケア経験がある看護師9名を対象に半構造化インタビューを行った。看護実践は、65コードが抽出され、それらの抽象度を上げ19サブカテゴリー、5カテゴリー【患者や親の治療方針の意思についての確認】、【患者が患者らしく生きるための調整】、【患者に説明するための準備】、【患者や親との信頼関係の形成】、【患者の思いやそこに至るまでの把握】が生成された。看護実践には患者を理解するための働きかけも見られた。思春期患者には意思決定する上で十分な情報が渡っていないこともあるので、看護師は患者がどのように意思決定をしているかアセスメントしていると考える。また、入院初期から患者に積極的にかかわることが意思決定のための信頼関係構築につながると考えた。

  • 田畑 久江, 今野 美紀, 浅利 剛史
    2025 年34 巻 p. 27-34
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究では、これまで開発してきた「先天性心疾患をもつ幼児の主体性を育むための看護支援モデル」について、熟練看護師がどのようなタイミングで活用できると認識しているかを明らかにすることを目的として質問紙調査を行った。その結果、熟練看護師の記述より、看護支援モデルの34項目すべてが活用できると認識されていることが明らかとなった。また、看護支援モデル活用のタイミングは、入院時、医師からの説明時、検査・処置・手術時、看護ケア時、退院時、定期受診時という疾患の治療や検査に関連したタイミング、就園・就学時という幼児のライフイベントに関連したタイミング、幼児が嫌がる時、家族が答えてしまう時という幼児や家族の反応に関連したタイミングに分類された。「先天性心疾患をもつ幼児の主体性を育むための看護支援モデル」に本研究で明らかとなった活用のタイミングを盛り込むことで、より活用しやすいものとなると考える。

  • 新井 二千佳, 谷本 真唯, 木浪 智佳子, 三国 久美
    2025 年34 巻 p. 35-42
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、医療的ケア児(医ケア児)との暮らしの中で抱く小児期にあるきょうだいの思いを明らかにした。きょうだい8名に半構造化面接を行い質的記述的に分析し、8カテゴリーを生成した。きょうだいは同胞のことを大体わかっており、同胞と仲良しだと思い、同胞との暮らしは普通だと認識していた。また同胞の健康を大切にしたいと願い、家族みんなで同胞を守りたいと思っていた。さらに、同胞と暮らすことは自分にとって良いことも嫌なこともあると思っていた。そして医ケア児のきょうだいのことが気になり、医ケア児とその家族が暮らしやすい社会になってほしいと願っていた。看護師はきょうだいの発達段階とそれに伴うきょうだいと医ケア児の関係の変化に注目し、きょうだいが本音を表出できているか観察しながらかかわること、きょうだいが利用できるサービスの情報提供や人々が医ケア児や家族のことを知る機会を作るといった支援の重要性が示唆された。

  • 望月 浩江, 添田 啓子, 田村 佳士枝
    2025 年34 巻 p. 43-51
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     小児集中治療の場で看護師がとらえる子どもの力の見えづらさと子どもの力を引き出す看護を明らかにすることを目的に質的記述的研究を行った。看護師10名に半構成的面接を行い修正版Grounded Theory Approachにて分析した。看護師は子どもが鎮静下や不安定な状態であること、小児集中治療の場の要因により、小児集中治療の場では【子どもの力の見えづらさは増幅する】ととらえている。看護師は子どもの力をとらえる努力をして子どもの力を確認し《消耗をさせないように、子どもの生きる力を整える》、《病気や治療の悪影響を防ぎ、発達や生活のためにいまできることをする》、《子どもの状態とニーズに合わせ、回復に向けて子どもの力を引き出す》。《看護の効果として、子どもの力の変化をとらえ》、さらに子どもの力を引き出す看護を行い【見えづらさを超えて、子どもの生きる力を整え、回復に向けて子どもの力を引き出す】ことが明らかになった。

  • 村松 三智, 三国 久美
    2025 年34 巻 p. 52-59
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     子どもの困ったと感じた行動に、母親がどのように対処しているのか明らかにすることを目的に、乳幼児を育てる13人の母親を対象に半構造化面接を実施し、質的記述的に分析した。その結果、母親が困ったと感じた乳幼児の行動への対処として11のカテゴリーが生成された。子どもへの直接的な対処には【子どもの行動に備える】、【子どもが切り替えられるようにする】、【子どもに教育的な声掛けをする】、【子どもをひとりの人間として尊重する】、【子どもに強要する】、母親自身が認知的に行う対処には【子どもに譲歩する】、【子どもに巻き込まれないようにする】、【心の安定を保つ】、【内省してより良い対応を探る】、【子どもの成長への見通しをもつ】、社会資源を用いた対処には【母親以外のリソースを使う】があった。体罰を含む不適切な対処に至らないように、子どもの発達や状況にあわせて母親が複数の対処法を持てるような支援が望まれる。

  • 菊地 博美, 佐藤 朝美
    2025 年34 巻 p. 112-119
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、小児がんの治療を受ける子どもの初回外泊における看護師による家族指導の視点を明らかにすることを目的に、小児がん拠点または連携病院の看護師5名に半構造化面接を行った。その結果 “外泊が次の治療を頑張るモチベーションとなるように、子どもがやりたいことをできるように家族と調整する”、“子どもと家族の不安や準備状況を把握し、指導のタイミングを見極め、初回外泊の準備を進める”、“小児がんの子どもが初回外泊をするために必要な内容を網羅して指導し、家族の管理能力を把握する”、“外泊時に家族が担うCVC管理はポイントを絞って説明し、家族の不安や負担を軽減する”、“子どもの命を守るための基準を明確に家族に示し、初回外泊中のトラブルに対応する” の5つのカテゴリーが抽出された。初回外泊の家族指導は、外泊決定前から水面下で開始し、治療のモチベーションを維持するための指導方略と明確なトラブル対応基準を視点としていた。

  • ―ひとりの母親のライフストーリーに着目して―
    山本 美智代
    2025 年34 巻 p. 120-127
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、小児診療科から転科を促された重症心身障害者の母親が、その促しを拒む理由を明らかにすることである。研究対象者は、転科を拒んだ経験のある東海地方在住の重症心身障害者の母親1名である。研究方法は、子どもの転科に関する経験について2回のインタビュー調査を実施した。テクストにある小さな出来事を把握し、個々の出来事を結ぶ文脈について分析した。この文脈が転科を拒む主な理由である。分析の結果、転科を拒む理由は次の2つである。1.必要な医療を受け続けたい希望 : 転科後、重症心身障害者の体調が悪化した際に、小児診療科では受け入れてもらえないため、必要な医療を受け続けたいという希望であった。2.温度差のある命の重み : 転科は母親にとって命の問題であったが、医療従事者が同じように感じているとは思えない相違があった。考察では、小児診療科と家族との間で話し合いの場を設けることが不可欠と示唆された。

  • 甲斐 鈴恵, 濱嵜 真由美
    2025 年34 巻 p. 128-135
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

     研究目的は母親が1歳~4歳児に電子メディア機器を使用する時の認識尺度を開発することである。表面的妥当性、内容的妥当性を検討し29項目の尺度項目案とした。九州・沖縄地域40園の認定こども園を利用する母親を対象とした。3,000名に配布し、548名から回収(回収率18.3%)し、517名を分析対象とした。項目分析、探索的因子分析(主因子法、プロマックス回転)により、15項目4因子【子どもの発達を促したい】、【家事・育児の負担軽減と子どもの安全確保の両立に使う】、【自分が意図せず習慣的に使用してしまう】、【公共の場で子どもを静かにさせたい】を抽出した。全項目の信頼性係数α=.78、安定性係数ρ=.71~.81であった。基準関連妥当性は、母性意識尺度(消極的・否定的)と第2因子が正の相関r=.368(p<.01)を示した。尺度を活用し母親の個別の認識に応じた保健指導の一助となる可能性がある。

  • 森口 ふさ江
    2025 年34 巻 p. 171-179
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/30
    ジャーナル フリー

     目的:クリティカルケア領域エキスパートナースが認知する小児患者急変予測のための臨床推論に必要な要素を明らかにする。方法:小児看護領域に従事するクリティカルケア領域エキスパートナースを対象として半構成的インタビューを行い「Berelson, B. の方法論を参考にした看護教育学における内容分析」を用いて質的に分析した。結果:7名のエキスパートナースがインタビューに参加し、分析により5つのコアカテゴリーと15のカテゴリーを形成した。コアカテゴリーは〖小児患者の急変予兆を見逃さないための観察・評価〗、〖論理的な思考を重視した分析と検証〗、〖チームとの意図的な情報共有〗などであった。結論:本研究において、クリティカルケア領域エキスパートナースが認知する小児患者急変予測のための臨床推論に必要な要素が示された。本研究の結果は、今後さらなる検証を重ねることで系統的な臨床推論強化教育プログラム開発の基盤となる。

  • 伊藤 久美, 岩田 洋子, 堤 梨那, 中元 祥代
    2025 年34 巻 p. 180-188
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/30
    ジャーナル フリー

     A自治体の小学校に通う医療的ケア児の支援に携わる各職種の現状と課題を明らかにするため、行政担当者、担任教諭、養護教諭、看護師、10名に半構造化面接を行い質的記述的に分析した。現状として、行政は学校の状況を理解し人材確保の工夫や頻繁な話し合いなどを行っていた。担任教諭は業務負担の増加を感じつつも医療的ケアがあっても一人の児童として、養護教諭は医療的ケアの直接的な実施ではなく全校児童の一人として支援していた。A自治体では、小学校近隣の保育所看護師が巡回する形で医療的ケアの支援を行っており、看護師は、保育所内での調整と他の保育所看護師と支え合いながら支援していた。課題として、人材不足、緊急時対応、医療的ケア実施のシステムの再構築、自立支援の必要性があり、現状に適した支援体制作りが急務で、人材確保や役割分担、緊急時のマニュアル整備、保育所から小学校への継続的な自立支援の重要性が示唆された。

実践報告
  • 浅利 剛史, 篠嶋 澪, 田畑 久江, 今野 美紀
    2025 年34 巻 p. 60-67
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     目的:採血を受ける幼児の「がんばった」を支援するために作成した看護師を対象とした学習プログラムの効果を看護師の認識と実践の変化から明らかにすること。

     方法:A病院の小児科病棟に勤務している卒後3年目の看護師2名を対象とした。学習プログラムはミニレクチャー、その後のワークで構成した。学習プログラム後に行ったインタビューを質的帰納的に分析して効果を評価した。

     結果:17カテゴリー、50サブカテゴリー、93コードが得られた。認識への効果は「エビデンスが得られたことで生じた実践しようとする意思」、実践への効果は「実践しようとする意思が生じたことにより増加したケアの頻度」が見出された。

     考察:学習プログラムは看護師の省察的実践のサイクルを円環的に展開することを支援し幼児の「がんばった」を支援するケアを促進させた。

  • 田中 さおり
    2025 年34 巻 p. 68-76
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、成長ホルモン治療(以下、GH治療)を行う子どもをもつ母親にピア・サポートを取り入れたプログラムを実施し、その効果について評価することを目的とした。GH治療中の子どもをもつ母親2名と子どものGH治療終了後2年未満の母親1名に、1回60分/1か月からなるプログラムを3回実施した。調査項目のうち、プログラムの満足度と自己効力感、QOLは質問紙より調査した。プログラムの受け止めやプログラムに関するニーズは、面接より調査した。自己効力感はプログラム後、2名が1点増加し1名が不変であった。QOLの平均点はプログラム後、全員に若干の上昇が認められた。プログラム後に≪他の母親に触発され治療により前向きになった≫といった語りが聞かれた。調査結果よりプログラムの有用性が示唆されたが、少数の結果であるため効果を評価することには限界がある。今後は参加者を増やしプログラムの効果をさらに検討する必要がある。

資料
  • 岩瀬 桃子, 大橋 麗子
    2025 年34 巻 p. 77-86
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、子どもを対象としたバイタルサイン測定の演習方法の実態と傾向を明らかにすることである。医学中央雑誌Web版を用いて検索し、19件を分析対象とした。対象論文を発行年、演習対象とツール、演習事例、演習方法、評価方法の観点から整理し、経年的変化も検討した。子どもを対象としたバイタルサイン測定の演習に関する研究は継続的に発行されていた。演習方法は、モデル人形を用いるものが多く、視聴覚教材やモデル人形に反応を付与することで実際の状況に近づける工夫がなされていた。演習方法は、経時的にタスク・トレーニングから状況設定シミュレーションへ変化していた。評価方法は、技術評価に加え学生を主体とした振り返りやフィードバックが行われる傾向が見られた。事例や教材、状況設定の工夫、シミュレーション教育の活用により、子どもを具体的にイメージして実践できる演習方法を模索していくことが必要であると示唆された。

  • 長谷 美智子, 小泉 麗
    2025 年34 巻 p. 87-95
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     在宅生活する医療的ケアの必要な重症心身障害児の養育者の体調管理の様相を明らかにすることを目的とし、ケアの中心を担う養育者11名を対象に質的記述的研究を行った。その結果、【子どもの不安定な体調の管理を中心にした生活をおくる】、【子どもとの生活を維持するために必要な支援を受ける】、【養育者の体調を安定させる生活をできる範囲で心がける】、【生活をコントロールできる程度が養育者の体調に影響する】、【体調が不安定になる】という5つのカテゴリーが抽出された。養育者自身の体力や考え方・サポートを組み込んで構築した生活リズム、子どもの体調、自分を活かすことのできる居場所を含めた生活のコントロールにより養育者の体調が変化するため、食事や感染対策など体調を安定させる工夫への支援だけではなく、養育者自身の体調管理への考え方を尊重し養育者の体調管理も含めた生活リズムが構築できるよう継続した支援が求められている。

  • 嶋 和城, 松森 直美
    2025 年34 巻 p. 96-103
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、混合病棟で働く小児看護経験の浅い看護師の抱く小児看護の良さややりがい、難しさや小児看護の学習状況、どのような学習を望んでいるのかを明らかにすることである。成人・小児の混合病棟で働いている小児看護経験年数が3年未満の看護師7名を対象に、面接ガイドに沿って半構成的面接(約30分)を実施し、目的に該当する文章データを質的帰納的に分析した。その結果、109件の文章データを抽出し、53コード、16カテゴリー、4上位カテゴリーに分類し、【小児看護のやりがいと難しさを認識しながら行う看護実践と家族への配慮】、【実践を通した小児看護の学習】、【小児看護の学習状況に対する不安】、【小児看護研修の要望と同時に抱く成人・高齢者看護への志向性】が明らかとなった。看護師が求める研修内容や研修方法をより明確にし、小児看護教育の充実に向けた取り組みが必要であると考える。

  • ~へき地で生活するための看護支援~
    宮里 優人
    2025 年34 巻 p. 104-111
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

     医学の進歩を背景に、医ケア児が増加している一方で、緊急時などに対応可能な病院へアクセスしやすい場所で生活することを希望することが推測されるが、居住地の自由な選択が難しい状況にあると考える。本研究では、へき地である離島で生活する医ケア児の両親の思いを明らかにし、へき地で生活するための看護支援を検討する。対象者はB島で生活する医ケア児2名の両親であり、無記名自記式アンケート調査を用いてデータ収集し、質的統合法で分析した。両親は、緊急時の対応や医ケア児への偏見、本音を語れない辛さ、育児の負担といった困難を抱えながらも、島での生活に安堵感を覚え、子どもの成長を願うといった複雑な思いをかかえていた。へき地で生活する医ケア児とその家族が安心して生活できるよう、医療従事者は、養育者の緊急時対応能力の向上、医ケア児とその家族への理解促進、養育者の負担軽減といった多角的な支援の必要性が示唆された。

  • 田中 さおり
    2025 年34 巻 p. 136-144
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

     成長ホルモン(以下、GH)治療を行う思春期にある子どもとその母親の治療への取り組みと治療に関する認識を明らかにすることを目的とした。3組の親子に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。治療への取り組みと治療に関する認識として、子どもでは【毎日の治療は生活の一部】、【GH治療中のほかの子どものことが知りたい】、【治療には嫌な面がある】といった6つのカテゴリーが、母親では【日々の治療は自分なりのやり方で続けている】、【治療のことをもっと知りたい】、【子どもにかかわる人々には低身長に関心をもってほしい】といった8つのカテゴリーが生成された。GH治療を受ける思春期にある子どもが主体的に治療に取り組むための支援や、子どもと母親が治療に関する情報を得る機会として子ども同士、母親同士が交流する場を設ける必要性、子どもとかかわるすべての職種を対象とした低身長に対する意識向上に向けた啓発活動の重要性が示唆された。

  • 清水 史恵, 勝田 仁美
    2025 年34 巻 p. 145-153
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

     特別支援学校の教員を実地研修で支援する際に、学校看護師が感じる困難を明らかにした。全国の調査票配布協力に承諾が得られた地方公共団体にある特別支援学校229校の学校看護師456名を対象とした。学校看護師213名(有効回答195名)より回答を得た。学校看護師の属性、困難感の有無は記述統計、自由記述は質的内容分析を行った。結果、約7割の学校看護師が困難を感じていた。学校看護師は、医療職の当たり前が通じない教員に教えること、時間の不足、医療的ケアのマニュアル以上のことも教えること、実地研修に向けた教員側の準備不足、学校看護師間の教員への指導の一貫性、子どもへのしわ寄せを困難に感じていた。実地研修の体制整備や実地研修を担う学校看護師への教育が必要である。

  • 今井 充子, 松井 貴子
    2025 年34 巻 p. 154-162
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

     我が国では、女性の労働率の増加から共働き世帯が増加している。本研究の目的は、乳幼児をもつ共働き夫婦を対象とした家事育児に関する先行研究を概観し、共働き夫婦の家事育児における協働の現状とその影響要因および課題を明らかにすることである。医学中央雑誌Web、メディカルオンライン、CiNiiを用いて「共働き and 育児」、「共働き and 家事」をキーワードとし原著論文を検索した。対象となった21件の文献を分析した結果、乳幼児をもつ共働き夫婦では家事育児が母親に偏っており、夫婦の家事育児の協働が進まない要因として夫婦のジェンダー意識やコミュニケーション不足があげられた。また長時間労働が常態化するなどの労働環境も影響要因となっていた。夫婦の家事育児の協働を強化するためには、家庭内での役割分担の再調整に関するコミュニケーション、夫の家事育児能力の向上、労働環境の改善、ジェンダー意識の改革の必要性が示唆された。

  • 森谷 菜々絵, 吉田 沙蘭
    2025 年34 巻 p. 163-170
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

     本研究では、国内の小児IBD患者における生活の質(QOL)と抑うつの実態およびQOLと抑うつの関連について明らかにすることを目的とした。2022年9月~2023年6月にWebによるアンケート調査を実施した。調査時点で11歳以上17歳以下の患児28名(女性18名、男性10名、平均年齢15.3±1.6歳)が分析対象となった。結果として、QOLは、病気への不満や将来の健康への心配などからなる 「情緒的機能」 の平均点が最も低かった。抑うつは27点中、平均8.14点(SD=5.08)であり、平均的にみて軽度の抑うつ状態にあった。患児が疾患に関して適応的な認識をもつための心理的支援と、患児の抑うつを低減することを目指した精神的・心理的支援の双方が重要である。

  • 一柳 雄輔, 市江 和子, 宮谷 恵
    2025 年34 巻 p. 189-196
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/30
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、初回手術を経験し初めて退院にいたった先天性心疾患の子どもをもつ父親のレジリエンスを明らかにすることである。父親10名に半構造化面接を実施し、質的に分析した。初回手術を経験し初めて退院にいたった先天性心疾患の子どもをもつ父親のレジリエンスとして、8つのカテゴリーを抽出した。父親は、【先天性心疾患の子どもの誕生に安心する】、【出生前に先天性心疾患への理解を得るために行動する】、【医療従事者へゆだねた先天性心疾患の子どもへの治療の必要性に納得する】、【先天性心疾患の子どもの入院と社会生活の中での気持ちを整理する】ことから、【退院前に先天性心疾患の子どもをもった自己の体験を意味づける】ことをしていた。先天性心疾患の子どもをもつ父親が、子どもの出生と手術という危機を乗り越える過程でレジリエンスを獲得することによって、父親としての人間的成長になると考えられる。

  • 下野 純平, 遠藤 麻子
    2025 年34 巻 p. 197-205
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/30
    ジャーナル フリー

     本研究は、NICU退院児フォローアップ外来(以下、フォローアップ外来)における看護実践の現状とそれに対する看護職の思いを明らかにし、フォローアップ外来において質の高い看護を実践するための方略開発の方向性を検討する複数事例研究であり、看護職4名に半構造化面接を行った。各事例分析後の全体分析の結果、【施設の体制と独自の手段をいかした看護実践】、【医師の診察に看護職が同席できなくても看護実践の質に差が生じない対応】、【NICU退院児と家族を多角的にとらえるための多職種連携】、【フォローアップ外来における看護実践の質に対する葛藤】などの9カテゴリーを抽出した。看護ブースの設置や家族指導のための手帳の作成など複数の方略から各施設の現状に合わせて看護実践の質向上を検討していく必要性が示唆された。また、フォローアップ外来における多職種連携の重要性が示唆され、方略の開発に組み込んでいくことが必要である。

  • 清野 星二, 廣瀬 幸美, 永田 真弓
    2025 年34 巻 p. 206-214
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/30
    ジャーナル フリー

     先天性心疾患(以下、CHD)のある幼児をもつ養育者への育児支援に関する国内研究を広く概観し、今後の研究課題を検討することを目的とした。医中誌Web版とCiNii Researchを用いて文献を検索し、該当した17件の概要をまとめ、知見を整理した。育児支援に関する記述を整理した結果、【医療従事者によるCHD児の発達を踏まえた体調管理のアドバイス】、【病院や地域におけるCHD児の発達を促すかかわり】、【医療従事者と園によるCHD児の集団生活の準備と環境づくり】、【家族間での役割分担と協力体制】、【ピアや周囲の人たちによる気晴らしや感情表出の場の提供】、【医療従事者と園からの一般的な育児情報の提供】、【医師や看護師による社会制度の情報提供と利用相談】の7カテゴリーが生成された。今後の研究課題として、父親と母親双方を対象とした研究知見に基づく育児支援と、幼児前期と後期など発達段階に即した育児支援を検討する必要性が示唆された。

  • 神道 那実, 泊 祐子
    2025 年34 巻 p. 215-223
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/30
    ジャーナル フリー

     小児がんの治療成績向上に伴い、身体的支援に加えて長期的な心理社会的支援が求められている。そのためには、小児がん患者の体験を包括的に理解することが必要であるが、疾患の希少性から先行研究の多くは調査対象者が少ないことが課題となっている。そこで、本研究は、文献検討により外来通院中の小児がん患者自身の体験を包括的に明らかにすることを目的とした。医学中央雑誌Web版、CiNii Research、PubMedを用いて選定した22件の文献から、456コード、56サブカテゴリー、16カテゴリー、4つの大分類を抽出した。小児がん患者の体験は〔病気・治療の理解と対処〕、〔病気をもつ自己の捉え〕、〔学校生活への復帰〕、〔周囲の理解とサポート〕という4つに大分類され、体験における感情には両義性があることが明らかになった。また、ネガティブな感情が変容することで心的外傷後成長(PTG)につながる可能性が示唆された。

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