日本小児看護学会誌
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最新号
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研究
  • 川勝 和子, 楢木野 裕美
    2021 年 30 巻 p. 1-8
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     小児がんの子ども・家族にかかわる看護師のストレッサーについて看護師7名に半構成面接を実施し、質的記述的研究方法を用いて分析した。看護師は【がんになって生活の変化に混乱し】たり、【治療の副作用による苦痛に苦し】んだり、【再発したことを何とか受け止めようとする子どもの姿】を見ることや、【子どもが主体的に治療に取り組めないこと】をストレッサーととらえていた。家族については、【子どもががんになり危機的状況】になったり、【外来通院に伴う生活への不安をかかえ】たり、【再発して不安定】になり、【子どもを失うかもしれない】という家族の精神状態をストレッサーととらえていた。また、ケアでは【化学療法の複雑な管理を行うこと】や【子どもの治療を支援する体制が整わないこと】、終末期では【難渋している子どもの苦痛緩和に対応すること】、【子ども・家族の最期の過ごし方の希望に沿えないこと】をストレッサーととらえていた。

  • 橘 ゆり, 入江 亘, 菅原 明子, 名古屋 祐子, 林原 健治, 塩飽 仁
    2021 年 30 巻 p. 9-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     医療的ケアが必要な重症心身障害児を亡くした親が、子どもと在宅生活をともに過ごしてきた時から子どもが亡くなった後の日常生活をどのようにとらえて過ごしてきたのか、家族一人ひとりの語りから体験を明らかにし、支援のあり方を検討することを目的とした。東日本の小児専門病院をかかりつけとし1年以上在宅で医療的ケアを受けながら過ごした重症心身障害児を20歳未満で亡くした親を対象に半構造化面接を行った。子どもとの死別時の状況、死別後から現在までの生活、子どもと在宅で過ごした時の生活やそれに伴う心境などを中心にインタビューを行い、Giorgiの現象学的アプローチを参考に分析を行った。親は複雑性悲嘆に陥りやすい要因がありながら子どもを亡くした悲しみと能動的に向き合い子どもとの新たな絆を結び直す体験をしていた。そこには、在宅生活で培われた親の高いレジリエンスが存在し、在宅生活からつながりが続いていたことが考えられた。

  • 上杉 佑也, 前田 貴彦
    2021 年 30 巻 p. 17-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、医療的ケアを必要とする重症心身障がい児の父親が在宅での新たな生活を作り上げる過程を明らかにすることを目的とした。父親9名に半構成的面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。父親は【新たな生活への戸惑い】が生じ、【目の前のことで精一杯な日々の暮らし】を送りながら負担感の強い《右往左往する生活》を過ごしていた。母親に子どもの養育を頼る中で、自身も子どもの対応を行えるという【自信の獲得】が《生活の根幹をなす安心》となり、【心のゆとりによる行動の広がり】を見せるとともに【我が家のライフスタイルの模索】をしていく。周囲のサポートや自身の信念が《子どもと共に生きていくことを支える力》となり、幾多の経験を乗り越える中で、多様な【ものごとの受け止め】ができるような精神的な成長を遂げ、《我が家のペースが創られた生活》を確立していくという過程が描かれた。

  • 上原 章江, 奈良間 美保
    2021 年 30 巻 p. 26-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、通院や入院を必要とする健康障がいをもつ子どもの親が、自分の思いや考えなどの感覚を表出することへの看護師の認識を明らかにすることを目的とした。子どもにかかわる4年目以上の看護師を対象とし、6名の研究協力者に4回のフォーカスグループインタビューを実施した。その結果、以下の3つのカテゴリーを抽出した。『親の感覚を聞こうとしているが、聞けていないし、親も言っていないがそれでいい時もある』、『親が表出する感覚の内容からケアが決まったり、看護師としての力量を感じたりする』、『親が自分の感覚を表出することへの自分たちの思い』。看護師は、親が表出する感覚の内容から自分自身のケアや力量をとらえており、親が感覚を表出することは看護師にとって重圧を感じることでもあった。親が表出することを他者と話し合ったり、親が自分の感覚を表出することの意味に着目したりする必要があると考える。

  • 森山 雄三, 二宮 球美
    2021 年 30 巻 p. 35-42
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究はNICUから中間施設の役割をもつ総合病院小児科病棟に転院した重症心身障がい児の母親・家族に対する在宅ケアへの移行支援のプロセスについて明らかにすることを目的とした質的帰納的研究である。中間施設の役割をもつ総合病院の小児科病棟で勤務する看護師9名を対象に半構造化面接を行った。データの分析は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。分析の結果、移行支援のプロセスは、<母子分離の埋め合わせ>、<移行支援戦略の策定>、<在宅ケアへの適応を促進する移行支援の強化>、<母親・家族の個別性に合わせたゴールの評価>の4つのカテゴリーから形成されることが明らかとなった。中間施設における在宅移行支援機能と在宅生活支援機能の強みを生かして、母子関係構築を基盤とした重症児と家族の絆づくりと母親・家族の心身の状況に合わせて支援の進捗を調整することが重要である。

  • 草野 知美, 津島 ひろ江
    2021 年 30 巻 p. 43-51
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、知的障害のない自閉スペクトラム症のある子どもへ特性や診断名を告知する過程を母親の体験から明らかにし、看護の示唆を得ることである。自閉スペクトラム症と診断を受けた子どもの母親10名に半構成面接を行い、質的記述的分析を行った。その結果、【特性のある子どもを受容することへの揺らぎ】、【子どもの特性への直面】、【子どもの承認と提案】、【家族や周りへの調整】、【診断名の告知と葛藤】、【自立に向かう子どもへの寄り添い】の6カテゴリが抽出され、告知過程は6段階を経ていることが明らかになった。看護師は、母親の体験を理解し共感的な姿勢でかかわり、母親が特性・診断名告知過程をたどれるよう支援する必要がある。また、子どもへの特性・診断名告知過程を体験する母親の揺らぐ思いや子どもへの特性や診断名の告知に関する意思決定を継続的に支援する看護の必要性が示唆された。

実践報告
  • 鈴木 千琴
    2021 年 30 巻 p. 52-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     子どもの慢性機能性便秘症 (以下、便秘症) は薬物療法に加え、子どもの排便を回避する行動の変容が不可欠である。しかし、養育者は子どもの特徴的な排便の行動に困難感を抱き、子どもへかかわる手立てを見出せないことが多い。本研究は便秘症の幼児の排便に対する養育者の認識や対処が、看護支援を通してどのように変化したかを明らかにすることを目的とした事例研究である。研究対象者は便秘症をもつ幼児とその養育者4組である。子どもの便秘症が改善しない状況に養育者は自らの育児が原因と責める、我が子特有の問題ととらえると否定的な認識をもち、親子の排便に関連したやり取りが乏しかった。それらに対して養育者が自らの役割を引き受け、子どもにかかわる手立てを見出せるよう看護支援を行った。その結果、養育者が子どもの排便に関する言動の意味をとらえ、組み入れながら対応できるようになったことで、排便に関連した親子の呼応的なやり取りが生まれた。

資料
  • 清水 史恵
    2021 年 30 巻 p. 61-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、「安全文化」 の概念を明らかにし、特別支援学校における安全文化の醸成に向けた学校看護師による介入内容を検討することを目的とした。保健学、工学、交通科学、教育学、安全科学、農学、社会福祉学、心理学の和文献と英文献を対象とし、Rodgersの概念分析方法を用いた。結果、五つの属性、六つの先行要件、三つの帰結が抽出された。先行要件として、《組織における安全体制整備》、《個の活動の尊重》、《トップの関与》、《教育の実施》、《絆の強化》、《潜在力》が抽出された。学校看護師は、特別支援学校の安全文化醸成に向け、体制整備や教育内容を企画実施する際に医療の専門職としての力を生かせる可能性が示唆された。「安全文化」 の概念は、学校看護師が安全文化の醸成にどう貢献できるかを検討する上で有用であるが、教育分野の研究が少なく、教育現場に安全文化の概念を活用していくためにも、さらなる研究が望まれる。

  • 2014年から2018年の国内文献に焦点をあてて
    久保 仁美, 岡本 奈々子, 阿久澤 智恵子, 山﨑(今井) 彩, 柏瀬 淳, 金泉 志保美
    2021 年 30 巻 p. 72-80
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、NICU看護師によって行われる退院支援内容を2014年~2018年における文献検討より明らかにすることである。医学中央雑誌 (Web版Ver. 5) を使用し 「NICU/新生児ICU」 and 「退院支援」 のキーワードで検索を行った (2019年1月2日実施) 。結果、分析対象文献は16件であった。文献の掲載数の推移は、2014年を除いて毎年2件~6件あり2016年が6件と最も多かった。また、地域の受け皿である訪問看護師を対象とした研究が1件のみであった。 「NICU入院児と家族に対する看護師の退院支援内容」 についての内容分析を行ったところ【児と家族の自宅での生活を想定した直接的な支援】、【地域移行に向けた多職種の調整と協働】、【家族中心のケアの理念に基づく態度や実践】の3コアカテゴリが形成された。今後の課題は、児の家族や地域の看護職の退院支援に対するニーズとを併せて検討し実践に反映させることである。

  • 狗巻 見和, 井上 みゆき
    2021 年 30 巻 p. 81-88
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、重症児の成長による身体変化に伴う治療をめぐる意思決定に関する文献検討を行い、 「その子らしく生きるための」 意思決定支援への示唆を得ることを目的とする。文献検索は医学中央雑誌Web (Ver. 5) を用い、キーワード 「重症心身障害児 (者)」 と 「意思決定」 を用い、対象は9文献であった。質的研究のシステマティックレビューを参考に分析した。研究目的と研究対象者から誰が考えた意思決定支援かを分析し、医療従事者が考える意思決定支援、親が歩んだ意思決定過程とその時の思い、親が考える意思決定支援の三つに分類できた。親への意思決定支援の現状を明らかにしたものが多く、今後は具体的な意思決定支援の介入方法を考えていく。また、看護師から働きかけた内容と親が認識した内容を基盤にし、重症心身障害児がその子らしく生きるために親が治療をめぐる意思決定ができるように介入計画を考えていく必要がある。

  • 小代 仁美
    2021 年 30 巻 p. 89-97
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、小児がんの初発で、入院、治療を受ける子どもの付き添いをしている核家族を中心に、入院から退院までの時間的経過における家族の状況を明らかにすることを目的とした。 「小児がん」 、 「家族」 、 「母親」 、 「父親」 、 「きょうだい」 、 「付き添い」 をキーワードに医学中央雑誌、CiNiiにて、会議録を除外した国内文献に絞り、27件の文献を抽出した。結果、家族の状況は 「診断から初回治療終了時期」 、 「初回治療終了後から退院時期」 の病期で状況が異なっていた。入院時の家族は、親の心理的混乱がきょうだいへと波紋が広がっていた。この時期は、特に家族の心理面への援助が必要である。初回治療終了後は、子どもの世話と家事、きょうだいの世話による親の心身の疲労と、退職などによる経済的負担が生じていた。加えて、きょうだいの登園・登校拒否の問題もあった。この時期は、特に親の心理・身体的負担と経済的負担への援助が必要である。

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