日本小児看護学会誌
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最新号
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研究
  • 柏瀬 淳, 金泉 志保美
    2026 年35 巻 p. 1-9
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     急性リンパ性白血病(ALL)の子どもに対する維持療法では、在宅での抗がん剤内服が必要となる。本研究は、在宅で経口抗がん剤治療を継続するALLの子どもの日常生活における親の行動や思いを明らかにすることを目的とした。A病院小児科に通院するALL患児の親14名に半構成的面接を実施し質的記述的分析を行った。結果、親の行動として【子どもの免疫低下を意識した感染予防行動の徹底】など8カテゴリー、親の思いとして【在宅で抗がん剤治療を継続しながら過ごしていく生活への期待と不安】など7カテゴリーが生成された。親は抗がん剤の内服治療を確実に行うことに対する強い責任感をもち、子どもらしい生活をさせたいという思いをかかえながら感染予防を徹底していた。家庭での抗がん剤曝露防止への対応には差がみられた。親へのソーシャルサポートや子どもを取り巻く環境調整の重要性、家族への抗がん剤曝露対策の指導強化の必要性が示唆された。

  • 浅利 剛史, 田畑 久江, 今野 美紀
    2026 年35 巻 p. 10-18
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     【目的】看護師が観察する採血・予防接種を受ける幼児(3歳~7歳児)の「がんばった」の因子構造を明らかにすること。【研究方法】全国の小児看護に携わる看護師1,865名に質問紙を配布し完全回答が得られた1,143部を分析対象とした。主因子法・プロマックス回転による探索的因子分析を行い、Cronbachのα係数を算出した。【結果】3因子16項目が抽出された。第1因子:抜針後の充足感(7項目)、第2因子:主体的な参加(6項目)、第3因子:不快な情動の表出(3項目)だった。Cronbachのα係数は全体で.927、第1因子が.904、第2因子が.893、第3因子が.912だった。【考察】各因子・各項目は「がんばった」の忍耐的な努力を示す構成要素であった。看護師が観察した幼児の「がんばった」を伝えることで幼児への称賛や保護者への情報提供を可能にするため、各因子・各項目を観察することへの活用は可能である。

  • ―専門性を培うプロセスを通して―
    岩本 美由紀
    2026 年35 巻 p. 19-27
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、保育所看護職の経験により専門性を培うプロセスを明らかにし、経験に基づく保育所看護職の専門性を見出すことを目的とする。保育所で5年以上勤務している看護職10名を対象に、半構成的インタビューを行い、得られた結果をM-GTAにて分析した。結果36概念、16サブカテゴリーより【保育所看護職として働くことの戸惑い】、【経験の意味づけの積み重ねによる専門性の生成】、【保育所看護職の専門性を発揮した保健活動】、【保育所看護職としての専門性を追求】の4カテゴリーが抽出された。看護職は保育所へ入職時、役割の不明確さにより【保育所看護職として働くことの戸惑い】がみられるが、経験の意味づけの積み重ねにより、自ら【保育所看護職の専門性を発揮した保健活動】を実践していた。さらに、専門職として常に自己研鑽を行う姿勢を身につけ【保育所看護職としての専門性を追求】していることが明らかになった。

  • 長谷 美智子, 小泉 麗
    2026 年35 巻 p. 28-37
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     在宅生活をする重症心身障害児の親の体調に関連する要因を明らかにすることを目的とし67名の親に1か月間隔で2回の縦断的Web調査を実施した。一般化推定方程式モデルを用いて主観的体調および体調評価尺度の下位尺度得点のオッズ比と95%CIを算出した。主観的体調には予定の変更有、健康への自信低、体調管理「自分の時間の確保」低、レスパイトケア利用群はそうでない群に比較して悪化しやすいといえた。体調評価尺度「疲労回復困難度」は体調管理「自分の時間の確保」低、「健康への自信」低、「社会に自分を活かしたい」高群はそうでない群に比較して悪化しやすいといえた。レスパイトケアは体調に関連していたが半数の親が利用したことがないと回答している状況から日々の生活を支えるには十分ではないことが明らかとなった。体調管理「自分の時間の確保」体制が提供できるよう親の在宅の不要な訪問看護体制の整備が重要である。

  • 北野 美月, 鎌田 佳奈美
    2026 年35 巻 p. 38-45
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、子どもが頭部外傷を受傷したことにより、虐待を疑われ親子分離となった保護者の体験を明らかにすることで、看護者としての支援の示唆を得ることを目的とした。保護者4名に半構造化面接を行い質的帰納的に分析した。結果、保護者の親子分離体験による気持ちの変化を47のコードおよび15のサブカテゴリーから【子どもの生命の危機に困惑】、【漠然とした違和感】、【親子分離は青天の霹靂】、【子どもを取り返すための闘い】、【親子分離の影響に対する悲哀】の5つのカテゴリーを抽出した。看護者の役割は、虐待が疑われる親子に対し、先入観をもたず保護者や子どもたちの声に耳を傾け、必要としている支援や寄り添った対応を行い、少しでも親子が前向きに過ごせるよう支援者として信頼できる存在であることが重要であると示唆された。

  • 伊藤 汐理, 西田 みゆき
    2026 年35 巻 p. 46-54
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、在宅人工呼吸器管理を要する医療的ケア児にかかわる訪問看護師の多職種連携における困難の内容を明らかにすることを目的とし、東京都内の訪問看護ステーションに所属する在宅人工呼吸器管理を要する医療的ケア児の訪問看護経験が3年目以上の訪問看護師9名を対象に半構造化面接による質的記述的研究を行った。訪問看護師の困難の内容として【安全を基盤とした生活のとらえ方の相違に対する困難】、【迅速かつ相互的な情報共有に関する困難】、【調整役としての立ち位置に対する困難】、【小児の人工呼吸器管理における看護を多職種に伝えることへの困難】、【小児在宅医療における連携方法の不確かさに伴う困難】の5のカテゴリーが抽出された。安全を基盤とした生活支援を前提に、迅速かつ相互的な情報共有体制の構築や看護師の相談支援体制の整備、専門的知識・経験を有する訪問看護ステーションおよび専門看護師による実践モデル構築の必要性が示唆された。

  • ―気管切開管理が必要なケースに焦点を当てて―
    川端 唯, 二宮 啓子
    2026 年35 巻 p. 55-64
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     病棟看護師が医療的ケア児の家族の在宅移行期における揺れ動く思いを、どのようにとらえ、支援につなげているのかの一連のプロセスを明らかにすることを目的に、入院中に気管切開管理が必要となった医療的ケア児の退院支援を行ったことがある小児病棟看護師10名を対象に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。その結果、病棟看護師は家族の言動から、時期ごとの家族の揺れ動く思いをとらえていた。退院支援導入期には、【家族への子どもの受け入れを支え(る)】、【家族の自宅退院への決断を支え(る)】ていた。退院に向けた準備時期には、【家族の状況を見ながら指導を進め(ていく)】、【家族内の支援体制を構築することを支援(する)】したり、【社会資源を活用して自宅での支援体制を構築(する)】したりしていた。退院間近の時期には【自宅生活への移行を段階的に支援(する)】し、【家族の状況に合わせて退院時期を決め(る)】ていた。

実践報告
  • 宗村 弥生, 小川 純子, 水野 芳子, 栗田 直央子, 横山 奈緒実, 村山 有利子, 笹川 みちる, 庄司 弘子
    2026 年35 巻 p. 65-73
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、先天性心疾患の子どもの看護に携わる看護師向けに作成したオンデマンド学習の適切性と学習効果を評価した。5テーマ16コンテンツの動画とミニテストで構成し、2か月間を視聴期間の目安とした。受講を希望した全国各地で小児看護に携わる看護師を対象とし、前後でWebアンケートを行った。389名のうち、210名(54.0%)が全16コンテンツの学習を修了した。受講後の実践項目の自己評価は受講前より29項目すべてが上昇した。図やイラストを用いた教材と講師の説明はわかりやすく、ミニテストや短いコンテンツの構成は、自分のペースで学習しやすいという利便性が対象者のニーズに合致していた。今後は、学習教材の定期的なアップデートや対面型の研修を取り入れた学習システムの継続が課題である。

  • 中村 彩乃, 岡永 真由美
    2026 年35 巻 p. 74-84
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、小児科で実施する育児支援の課題に対し、育児支援ツールを作成・試行することを通してスタッフの認識を明らかにし、その取り組み結果を組織内で共有した。育児支援チームと検討会を行い、「育児支援フロー図」「育児支援シート」「育児支援リーフレット」の3つのツールを作成した。ツールを用いた育児支援を実施後、チームメンバーにインタビューを行った結果、【小児科で実施している育児支援は家族を対象とした小児科独自の支援である】、【スタッフ間の共通理解や支援方法の共有が可能になった】、【院内ではなく、地域で母子が暮していくことができるように支援する必要がある】など7カテゴリーが抽出された。ツールの活用により、支援の流れと目標が明確化し、支援の可視化が可能となった。また、地域の社会資源とつなぐ視点が生まれた点は重要な成果である。今後は、自治体と連携し、地域全体で切れ目のない支援体制を構築することが課題である。

資料
  • 徳島 佐由美, 白坂 真紀
    2026 年35 巻 p. 85-92
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、知的障害と運動機能障害が重複する重症心身障害児(以下、重症児)に対して訪問看護師が自宅で提供する在宅レスパイトケアにおける技術や工夫を明らかにすることである。13名の訪問看護師に対して半構造化インタビューを実施し、質的記述的研究を行った。分析の結果、【開始前に時間をかけて慎重に準備】、【在宅レスパイトケアチームの形成】、【重症児の日常に溶け込む】、【養育者と信頼関係を構築】、【家族支援の拡大】の5つカテゴリーが抽出された。訪問看護師は、養育者が不在となる特殊な状況で、安全性の確保と重症児の日常生活の維持を両立させるため、専門性を活かした創意的な技術と工夫を実践していた。これらの実践は、在宅で暮らす重症児とその家族の生活の質向上に資する、きわめて重要な支援であることが示唆される。

  • 秋本 和宏, 涌水 理恵, 小澤 典子
    2026 年35 巻 p. 93-101
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、NICUから在宅生活に移行した極低出生体重児を養育する家族の実態と家族のエンパワメントとの関連を明らかにすることである。研究対象者は総合周産期母子医療センター2施設の小児科フォローアップ外来を訪れた極低出生体重児の主たる養育者とそのパートナーとし、無記名自記式質問紙調査を行い、有効回答77例を分析した。家族のエンパワメントはFamily Empowerment Scale日本語版で測定し、目的変数として重回帰分析で関連を検討すると、主たる養育者がパートナーと相談する機会をもてていること(β=0.340、p<0.01)、NICU退院前の地域スタッフと話し合いの機会があること(β=0.398、p<0.01)によって高くなる傾向にあった。家族内で相談できる関係性を築き、多職種と話し合って養育環境を調整することで、家族の主体的な生活の調整と改善につながることが示唆された。

  • 阿部 正裕, 西田 みゆき
    2026 年35 巻 p. 102-110
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、小児集中治療室(pediatric intensive care unit:以下、PICU)の看護師を対象とした看護研究の国内文献検討により、研究の特徴を明らかにし、今後の課題を検討することである。文献は、医学中央雑誌Web版を用いて「小児ICU」、「PICU」、「小児」、「集中治療」、「看護」で検索し、最終的に40件を分析対象とした。対象文献は、アジアにおける小児集中治療に関する看護研究の7つの優先課題に分類した。結果、文献数は2012年を境に増加しており、アジア地域に即した研究が行われていた。PICU看護師は、小児患者のわずかな変化を察知しケアを提供する高度な実践能力を有する一方、高度な能力を必要とされることが負担となっていた。今後は、PICU看護師の教育方法の確立につなげることや客観的評価が可能なスケールを鎮痛鎮静にとどめず開発することが研究課題として考えられた。

  • 勝俣 晴加, 宗村 弥生
    2026 年35 巻 p. 111-118
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は、幼児期にある重症児を育てる母親がとらえる子育てを明らかにすることを目的とした。研究方法は、自宅で生活をする幼児期にある重症児の母親4名に半構造化面接を行い、質的統合法(KJ法)にて分析をした。その結果、幼児期にある重症児の母親の子育ては、【対家族との折り合い:調整の難しさ】と【対子どもとの向き合い:愛おしさの実感】が基盤となり、【成長への実感:身体の安定化による他者との出会い】するからこそ、【成長に向けた子どもの反応の誘発:発作リスクを考えた最善策】をし、その後【意思疎通に向けた反応の模索:表情・声・目線に着目】するようになる。しかし、重症児の子育ては、【子どもの将来:生存への不安】が常に背後で作用していることが明らかとなった。重症児の母親への子育て支援として、重症児と母親の成長を認め、母親と重症児の意思を共有し、子どもが意思を表現できる状態に整えることの重要性が示唆された。

  • 若瀬 淳子, 高木 園美, 松本 美子, 寺井 孝弘
    2026 年35 巻 p. 119-126
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、演習教材として作成した乳児側からの見え方・聞こえ方・触れ方を可視化する機能を持つ乳児型モデル人形を用いたシミュレーション教育モデルの効果を検証することである。方法は、看護学生12名を対象に作成したモデル人形を用いて “抱っこ” と “移動” の実験を行い、モデル人形が受信した音声や映像のデータ視聴から自身の援助を振り返り、対象者間でのデブリーフィングを行った。その前後に、共感性尺度と自身の変化および自由記述による質問紙調査を実施した。結果、共感性に有意差はみられなかったが、対象者全員が乳児とのコミュニケーションに対する思いに変化があったと回答し、乳児の気持ちを推察した表情・声かけ・抱き方などの援助行動の変化に有意差がみられた。作成したモデル人形を用いたシミュレーション教育モデルは、乳児の気持ちを推察した援助行動がとれるための教育モデルとしての効果が示唆された。

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