日本小児看護学会誌
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研究報告
思春期・青年期の先天性心疾患患者とその親の成人型医療への移行に関する認識とその相違
櫻井 育穂
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2016 年 25 巻 3 号 p. 32-38

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抄録

 現在、先天性心疾患患者の多くが、成人型医療への移行を求められている。本研究は、15歳以上の先天性心疾患患者とその親の移行の認識とその相違について明らかにし、支援の方向性を検討した。患者とその親に無記名自記式の質問紙調査を行い、患者35名、親32名 (回収率87.5%、80.0%) の回答を分析した。その結果、患者の漠然とした病気の理解と自己管理に対する認識の低さが移行に対する動機づけに影響を与えていることが考えられた。また、移行に影響する要因として、患者の周囲への病気説明や病気関連の情報取得があり、それらには、病気説明や医師から情報的サポートが関連していた。しかし、移行の実態は、医師・親中心であり、患者は医師が変わる不安や、移行に対する情報不足により判断できない状態であった。今後、患者の病気の理解や移行に関する情報提供等の支援と同時に、親が患者の移行を手助けできる支援を検討していく必要がある。

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© 2016 一般社団法人 日本小児看護学会
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