日本小児看護学会誌
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研究報告
「幼児の達成感」 の概念分析
浅利 剛史
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2016 年 25 巻 3 号 p. 39-46

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抄録

 本研究の目的は 「幼児の達成感」 という概念を明らかにし、医療者が行うケアの評価指標となり得るかを検討することである。Rodgers & Knafl (2000) の方法を参考に看護学、心理学、教育学、その他 (看護学以外の医療系学問) の和文献32件を対象として概念分析を行なった。その結果 「幼児の達成感」 は、負荷のあるイベントを幼児が大人との相互作用を通じて準備・遂行すること、幼児を取り巻く大人が幼児を直接支援したり場を設定するなどの間接的な支援をしたりすることが先行要件であった。属性は【安堵】、【うれしい思い】、【成就した感覚】、【満ち足りた思い】といった感情で構成された。幼児が達成感を得られるとそのイベントに関する成果が得られるだけでなく、社会性、主体性が強化され、情緒が安定するという帰結が導かれた。以上の結果より、幼児の達成感を評価することは大人が行ったかかわりや幼児と大人の相互作用を間接的に評価するための指標となりうると考えられた。

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© 2016 一般社団法人 日本小児看護学会
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