日本臨床免疫学会会誌
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総説
強皮症と悪性腫瘍
武田 誠司
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2004 年 27 巻 6 号 p. 389-396

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抄録
  以前より,膠原病と悪性腫瘍の合併は注目を集めており,特に皮膚筋炎では高率に悪性腫瘍の合併を認めるとされている.
  近年,全身性強皮症(SSc)においても,有意差をもって悪性腫瘍の合併を認める報告があり,今回,SScと悪性腫瘍に関して,文献的考察を行った.
  その結果,次の①~④に代表されるような特徴を認識出来た.
  ①高齢発症,重症(Barnett分類III型以上),男性のSSc症例は,悪性腫瘍の合併について特に検討を要する.
  ②悪性腫瘍が合併する機序は,肺線維症を基盤として肺癌が発症する例にみられるSScの基本病態が悪性腫瘍を惹起する機序,悪性腫瘍によりSSc様症状が引き起こされるparaneoplastic syndromeとしての機序,およびSScによる免疫能の低下により悪性腫瘍が発症する機序が挙げられる.
  ③SScと乳癌の発症間隔は,SScに合併する他の悪性腫瘍と比較して著しく短い.
  ④SScでは,長期にわたる逆流性食道炎の結果,下部食道の扁平上皮が脱落し,円柱上皮化生をきたすことがある(Barrett食道).この場合,食道腺癌を合併することが多い.
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© 2004 日本臨床免疫学会
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