日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
再発性多発軟骨炎様の臨床症状を呈した顕微鏡的多発血管炎の1例
小川 祥江西 英子亀田 秀人天野 宏一竹内 勤
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2005 年 28 巻 2 号 p. 104-108

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抄録

  顕微鏡的多発血管炎(MPA)は,肺や腎臓などの全身の小血管に原因不明の炎症を来たす難治性疾患である.
  72歳の女性が再発性多発軟骨炎の疑いにて入院.結膜炎,聴力障害,間質性肺炎,糸球体腎炎および多発性単神経炎が認められ,血清学的検査では抗好中球細胞質抗体(PR3-ANCA)が陽性であった.左耳介軟骨生検の結果,軟骨の炎症と小血管の壊死性血管炎が認められた.MPAの診断のもと,シクロホスファミド及び経口ステロイド治療を開始し,症状は改善した.鼻及び気管支の軟骨の炎症がなく,耳介生検で血管炎所見が認められたことより,多発性軟骨炎様の所見は,MPAの全身症状の1つとして出現したものと考えられた.

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© 2005 日本臨床免疫学会
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