日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
Anti-thymocyte globulin-シクロスポリン併用療法が奏効したlimited cutaneous systemic sclerosis合併再生不良性貧血の1例
末松 栄一宮村 知也井筒 拳策南 留美山本 政弘
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2005 年 28 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

  症例は68歳,女性.平成10年頃よりレイノー症状,手指のしびれ感が出現.Limited cutaneous systemic sclerosis (lcSSc),橋本病,原発性胆汁性肝硬変症の診断を受け,D-ペニシラミン200 mg/日の内服療法を開始した.平成14年11月25日頃より,鼻出血,皮下出血出現.当科受診,白血球数2300/μl,血色素8.2 g/dl,血小板数0.3×104/μlと汎血球減少を認めた.骨髄検査では著明な低形成を認め,再生不良性貧血と診断した.原因としてD-ペニシラミンによる薬剤性が疑われた.D-ペニシラミンを中止すると共に,メチルプレドニンパルス療法,シクロスポリンおよびG-CSF併用療法を開始した.しかし造血の回復は認められないため,Anti-thymocyte globulin (ATG) 450 mg/日5日間の投与をメチルプレドニンパルス療法およびシクロスポリン療法と平行して行った.MAP血輸血および血小板輸血の頻度は徐々に減少し,ATG投与後約4カ月経過した時点で,輸血を必要としない状態にまで回復した.さらに造血の回復と共に手指の腫脹および皮膚硬化の改善や,抗セントロメア抗体価の低下が認められ,ATG-シクロスポリン併用療法はlcSSc対しても有効であったと考えられた.

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© 2005 日本臨床免疫学会
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