日本臨床免疫学会会誌
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総説
フラクタルカインと炎症性疾患
今井 俊夫西村 美由希南木 敏宏梅原 久範
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2005 年 28 巻 3 号 p. 131-139

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抄録

  炎症や免疫反応は生体局所で生じることから明らかなように,免疫細胞の時空間的局在は緻密に制御されている.免疫細胞は細胞接着分子と細胞遊走因子を巧みに利用して,炎症部位やリンパ組織に到達する.フラクタルカイン/CX3CL1は,ケモカインと細胞接着分子の2つの活性を併せ持ち,活性化血管内皮細胞上に発現する細胞膜結合型ケモカインである.その受容体CX3CR1は,NK細胞やcytotoxic effector T細胞(TCE)などの細胞傷害性リンパ球と成熟マクロファージや粘膜樹状細胞などの病原体や異常な細胞の排除に深く関わる免疫細胞に発現している.最近の臨床病態やマウス疾患モデルでの研究から,フラクタルカインは,関節リウマチや粥状動脈硬化症などの慢性炎症疾患にも深く関与していることが示唆されている.本稿では,フラクタルカインの特徴的な機能と炎症疾患における役割について概説する.

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© 2005 日本臨床免疫学会
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