日本臨床免疫学会会誌
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総説
ヒストン蛋白を標的とする自己抗体の特異性と臨床免疫学的意義
諏訪 昭
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2005 年 28 巻 3 号 p. 123-130

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抄録
  ヒストンはクロマチンの最小基本単位であるヌクレオソームを構成する蛋白成分であり,コアヒストンH2A, H2B, H3, H4とリンカーヒストンH1の5種のサブユニットから構成される.近年ヒストンの構造と機能の解析が進み,エピジェネティクスがヒストン蛋白の翻訳後修飾によるクロマチンの構造変化によって制御されていることが明らかにされた.ヒストンは,二本鎖DNAとともにSLE患者における主要な自己抗原であるが,プロカインアミドやヒドララジンなどによる薬剤誘発性ループスにおいても抗ヒストン抗体産生を特徴とし,その病因的意義が注目されている.また,自然発症SLEモデルマウスにおいて,コアヒストン,リンカーヒストンに加えて,ヌクレオソームが主要なループス抗原であることや,H1やヌクレオソームに対する免疫応答が自己免疫のトリガーとなる可能性も示されている.ヒストンを標的とする自己抗体産生機序の追求は,SLEの病因,病態を解明する上で,重要と考えられる.
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© 2005 日本臨床免疫学会
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