日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
赤芽球癆,抗リン脂質抗体症候群の治療中に発症した中枢神経ループスの1例
村山 淳子淺沼 ゆう津田 篤太郎西田 淳二森口 正人
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2006 年 29 巻 1 号 p. 43-47

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抄録
  症例は48歳女性.心窩部痛にて当院を受診し,高度の貧血(Hb 4.6 g/dl)と左足背に紅斑を認めて入院となった.骨髄所見で赤芽球系の低形成を認め,赤芽球癆(PRCA)と診断した.また,左足背紅斑の病理組織所見で小動脈微小血栓を認め,IgG型β2グリコプロテインI依存性抗カルジオリピン抗体およびループスアンチコアグラントが陽性で深部静脈血栓症の既往があることから,抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断.ステロイドパルス療法とワーファリンによる抗凝固療法を開始し,貧血および皮疹は改善した.ステロイド漸減中の5月頃より不安焦燥感,抑鬱気分などの精神症状が出現.抗リボゾームP抗体陽性で,中枢神経系ループスによる精神症状と診断し再度入院.ステロイドパルス療法にて改善せず,シクロフォスファミドパルス療法を追加したところ,精神症状の改善を認めた.PRCAとAPSの合併は非常に稀であるが,本例ではさらに中枢神経ループスを併発した点が特徴的で,いずれも自己抗体を介した免疫学的機序の関与が示唆された.
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© 2006 日本臨床免疫学会
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