制御性T細胞は自己免疫寛容の維持に重要であり,その異常は自己免疫疾患の原因と考えられる.我々は関節リウマチ患者末梢血中のCD4
+CD25
+制御性T細胞数を測定し,疾患活動性に与える影響について検討した.さらに全身性エリテマトーデス(SLE),強皮症(SSc)においてもCD4
+CD25
+制御性T細胞を測定し関節リウマチとの比較を行った.対象は関節リウマチ(RA)101名,全身性エリテマトーデス(SLE)38名,強皮症(SSc)17名.末梢血中のCD4
+CD25
+制御性T細胞数をフローサイトメトリーで測定した.RAではCD4
+CD25
+制御性T細胞数が低下,特にCD4陽性細胞に占めるCD4
+CD25
+制御性T細胞の比率は有意に低下していた.また疾患活動性の高い群においてCD4
+CD25
+制御性T細胞数が有意に低下していた.一方,IL-10は活動性の高い方が高値を示した.以上よりCD4
+CD25
+制御性T細胞がRAの発症,進行を抑制しておりその作用はIL-10非依存性であると考えられる.SLE, SScに関してはCD4
+CD25
+制御性T細胞数はコントロールに比して統計学的有意差を認めず,病態への直接的な関与は少ない可能性がある.
リウマチ性疾患において制御性T細胞は発症,疾患活動性に重要な役割を果たしている可能性があるが,関与の仕方は疾患により異なることが示唆された.
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