日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
全身性エリテマトーデスに併発した血栓性血小板減少性紫斑病の1例
小川 弥生向井 正也後藤 秀樹田中 敏高田 明生武内 利直
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2006 年 29 巻 5 号 p. 342-347

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抄録
  臨床的に非活動期の全身性エリテマトーデス(SLE)患者が血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を発症し,血漿交換などの治療に反応せず,入院4日後に死亡された1例を報告する.症例は60歳女性で,32年前にSLEを発症し通院加療をしていたが,入院3週間前まで副腎皮質ステロイド10 mgの経口投与で症状は落ち着いていた.今回発熱,全身倦怠感,意識障害を主訴に来院し,血液検査上,高度の血小板減少,溶血性貧血,腎機能障害が認められTTPと診断された.血漿交換および副腎皮質ステロイド投与の治療を行ったが反応に乏しく入院4日後に死亡された.急速な経過で臨床的評価が難しかったため,病理解剖を行い,臨床病理学的なSLE腎炎の活動性,TTPとしての血栓の局在などを含めた病態解析を行い,残血漿を用いたvon Willebrand factor-cleaving protease (VWF-CP)活性の検索を行った.心臓はびまん性に点状,巣状の出血を認め,組織学的には細小動脈内に多数の好酸性血栓を認めた.血栓は,脾臓,腎臓,肝臓,膵臓でも多数認められ,一部消化管の血管にも散見された.多臓器の細小動脈内に特徴的な硝子様血栓を認め,血栓はVWF抗体が陽性で,病理組織学的にもTTPと診断された.発症時のVWF-CPは0.5%未満と著明な低下を示し,inhibitorの存在を認めた.われわれは,本症例がSLE-TTPの病因を考察する上で,血栓の局在および形態などの臨床病理学的所見とVWF活性の評価を含めて検討しえた貴重な症例と考え報告する.
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© 2006 日本臨床免疫学会
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