日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:診療科の壁を越える共通語―IL-6を例として
多発性筋炎・皮膚筋炎の研究の発展
沖山 奈緒子上阪 等
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2008 年 31 巻 2 号 p. 85-92

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抄録
  多発性筋炎(polymyositis ; PM)と皮膚筋炎(dermatomyositis ; DM)は,炎症性筋疾患の一つであり,成因は不明だが,自己免疫性疾患と考えられている.PM/DMの筋炎部位の筋組織標本を組織学的・免疫組織学的に検討し,DMはCD4陽性のヘルパーT細胞の活性化とB細胞の産生する抗体で血管炎が起こることによって筋傷害が起こっており,PMはCD8陽性の細胞傷害性T細胞によって筋傷害が起こっていると言われてきた.しかしながら,PMとDMを筋組織学的に区別出来る事はまれである.一方で,筋炎だけのPMに対し,皮膚炎だけのamyopathic DMという症例もあることから,PM/DMは,症例それぞれの程度で筋炎と皮膚炎を発症する,特発性炎症性筋疾患という一つのスペクトラムであるとも提唱されている.現在まで,PM/DMの臨床・基礎研究報告は,全身性エリテマトーデスや関節リウマチと比し,非常に少ない.PMとDMの関係性も結論が出ていない.本項では,PM/DMの成因について,T細胞・B細胞・サイトカインという視点から,近年に報告されている臨床・基礎研究を中心に概観する.
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© 2008 日本臨床免疫学会
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