日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
小児期発症全身性エリテマトーデスの姉妹例
佐野 史絵小澤 礼美町田 裕之宮前 多佳子伊藤 秀一今川 智之森 雅亮奥山 健一横田 俊平
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2008 年 31 巻 3 号 p. 172-177

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抄録

  全身性エリテマトーデス(SLE)は家族集積性が認められている.今回われわれは,小児期のほぼ同時期にSLEを発症した姉妹例を経験した.妹は2005年,11才時に全身浮腫,高血圧,蛋白尿で発症した.抗核抗体抗dsDNA抗体陽性で低補体血症が認められSLEと診断された.ループス腎炎の所見があり,ISN/RPSによる2003年改定分類でV型(膜性ループス腎炎)であった.姉は翌2006年,14才時に全身倦怠感,感冒様症状,両眼瞼浮腫,両側下腿浮腫で発症し,抗核抗体抗dsDNA抗体陽性,低補体血症,蛋白尿が認められSLEと診断された.腎臓組織は妹と同様に膜性ループス腎炎所見を含むループス腎炎IV-G(A/C)+V型を呈していた.また両者とも二次性シェーグレン症候群の合併が認められた.HLAタイピングは姉妹とも完全に一致し,A*0207, A*2402, B*4601, B*5201, B*5201, Cw*0102, Cw*1202, DRB1*0101, DRB1*0803であった.SLEの同胞例は過去にも散見されるが,小児期発症例はまれであり,加えて本報告はHLAの完全一致した姉妹が,ほぼ同時に全身性エリテマトーデスを発症し,その臨床像も類似していた点で特徴的であった.

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© 2008 日本臨床免疫学会
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