日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
Tacrolimusの早期投与が著効したIII+V型ループス腎炎の一例
吉田 周造小谷 卓矢武内 徹礒田 健太郎秦 健一郎渡辺 香子庄田 武司井上 徹槇野 茂樹花房 俊昭
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2008 年 31 巻 6 号 p. 460-464

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抄録

  症例は55歳女性.2006年6月より両側下腿浮腫が出現し,増悪傾向のため11月11日当院受診.検査にて尿蛋白3+,血清Alb 2.5 g/dlであり,ネフローゼ症候群が疑われ11月14日当院入院.円板状紅斑,抗核抗体640倍,抗ds-DNA抗体16.8 IU/ml,腎生検にてループス腎炎ISN/RPS分類(class III (A/C)+V)の所見を得たため,全身性エリテマトーデスと診断した.Prednisolone 1 mg/kg/日にて治療を開始し,補体の上昇,抗ds-DNA抗体,免疫複合体の低下を認めたが,蛋白尿が持続したためAzathioprine 125 mg/日を併用した.しかし,蛋白尿の改善が不十分かつ骨髄抑制が出現したため中止し,Tacrolimus 3 mg/日を投与したところ,蛋白尿が著明に改善した.V型を含むループス腎炎による難治性蛋白尿にTacが著効した症例を経験したため報告する.

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© 2008 日本臨床免疫学会
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