日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
出産を契機に血球貪食症候群を伴い発症した全身性エリテマトーデスの1例
吉田 周造武内 徹伊丹 康夫秦 健一郎渡辺 香子庄田 武司小谷 卓矢槇野 茂樹花房 俊昭
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2009 年 32 巻 1 号 p. 66-70

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抄録
  症例は33歳,女性.2007年3月15日第1子出産.約3週間後より発熱,リンパ節腫脹,頬部紅斑が出現したため,同年6月13日当院入院した.汎血球減少,フェリチン上昇を認め,骨髄穿刺にてマクロファージによる血球貪食像を認め,血球貪食症候群(HPS)と診断した.また,抗核抗体陽性,抗ds-DNA抗体陽性,検尿異常を認め,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.Prednisolone 55 mg/日により,発熱,リンパ節腫脹,頬部紅斑,血球減少および高フェリチン血症は速やかに改善した.補体価の低値と抗ds-DNA抗体陽性は遷延したため,第27病日タクロリムス3 mg/日を追加投与し軽快した.出産後にHPSを伴って発症したSLEは過去に1例しか報告がなく,貴重な症例と考え報告する.
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© 2009 日本臨床免疫学会
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