日本臨床免疫学会会誌
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総説
免疫疾患の新たな分子標的治療NFκB阻害薬
冨田 哲也椚座 康夫野村 幸嗣森本 大樹黒田 将子吉川 秀樹
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2009 年 32 巻 2 号 p. 71-76

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抄録
  関節リウマチの臨床的に進行する関節破壊が大きな問題となっている.関節破壊機序は完全には解明されていないが,TNFα,IL-βなどの炎症性サイトカインの産生増加や破骨細胞の活性化などが明らかにされている.これら炎症性サイトカインの遺伝子発現を調節しているのが転写因子NFκBである.関節リウマチ罹患関節局所の増殖滑膜においてNFκBの発現亢進が報告されている.我々は転写因子レベルでの制御を目的としておとり(デコイ)型核酸医薬による治療法を考案した11).これは特定の転写調節因子の結合部位の結合を阻害し,活性化される遺伝子群の発現抑制あるいは発現増強を行うものである.本稿では,関節リウマチの炎症関節局所治療という観点より核酸医薬の可能性について概説する.また夏白菊の主成分parthenolide (PTH)は抗炎症作用が知られている.近年その作用機序として転写因子NFκBの活性化を抑制することが明らかにされた.Parthenolideをコラーゲン関節炎マウスに投与したところ関節破壊進行抑制効果が認められた.NFκBは炎症性関節治療のターゲットとして有望であり,NFκB阻害薬の開発が進むことを期待したい.
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© 2009 日本臨床免疫学会
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