日本臨床免疫学会会誌
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総説
“自己抗原のヒト化”を応用し作成した新しい水疱性類天疱瘡モデル
西江 渉清水 宏
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2009 年 32 巻 6 号 p. 472-477

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抄録

  自己免疫性水疱症の中で患者数が最も多い疾患である水疱性類天疱瘡は,表皮基底膜ヘミデスモゾームに存在するXVII型コラーゲン(COL17)に対する自己抗体により発症する.疾患モデル動物は,病態機序解明と新規治療法開発等に有用であるが,水疱性類天疱瘡ではCOL17に存在する抗原エピトープのアミノ酸配列がヒトとマウス間で大きく異なるため,患者自己抗体を用いたモデル動物の作成は困難だった.近年,筆者らは遺伝子改変技術によってCOL17を“ヒト化”したマウスを作成し,“自己抗原のヒト化”という新しい研究手法を確立した.そして,患者の自己抗体を投与することで発症する水疱性類天疱瘡モデルを作成し,更に母マウスから移行した抗体により発症する新たなシステムも確立した.今後,新しい自己免疫疾患モデル動物作成を試みる上で非常に有用と思われる“自己抗原のヒト化”について,2つの新しいモデルマウスを用いて紹介したい.

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© 2009 日本臨床免疫学会
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