日本臨床免疫学会会誌
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総説
IgG4関連疾患~その診断の混沌,および混沌から抜け出すための提言~
正木 康史梅原 久範
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2009 年 32 巻 6 号 p. 478-483

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抄録
  IgG4関連疾患は,2001年にHamanoらにより硬化性膵炎における高IgG4血症が報告されてから,全身の多彩な病変におけるIgG4の関与が報告され,全身性疾患であるとの観点から様々な呼称が提案されている.傷害される臓器は類似しているが,Sjögren症候群とIgG4関連Mikulicz病とは異なった疾患概念である.一方,IgG4関連Mikulicz病とKüttner腫瘍とは連続性の病態であり厳密な区別は困難である.本邦の自己免疫性膵炎は多くの症例がIgG4関連硬化性膵炎の病像を呈しており,欧米型のものとは区別して理解する必要がある.かつてCastleman病と診断され,ステロイド治療の反応性が良好であった症例は,IgG4関連のリンパ節症であった可能性も大きい.IgG4関連疾患の診断は,1) 高IgG4血症(135 mg/dl以上)と,2) 組織のIgG4陽性形質細胞浸潤(強拡大5視野でIgG4+/IgG+が50%以上)に基づくが,ステロイド治療の反応性や臨床経過の異なるCastleman病,Wegener肉芽腫,Sarcoidosis,悪性リンパ腫,がん,その他既知の疾患を除外鑑別する必要がある.今後,疾患概念の確立のために,より一層の症例の集積と解析,および病因に迫る研究が必要である.
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© 2009 日本臨床免疫学会
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