日本臨床免疫学会会誌
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総説
免疫炎症疾患におけるCD4T細胞の役割:新展開
―抗炎症治療ターゲットとしてのCD69―
長谷川 明洋中山 俊憲
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2010 年 33 巻 4 号 p. 189-195

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抄録

  CD69分子はc-type lectinファミリーに属するII型の膜分子で,早期活性化マーカー分子としてリンパ球の活性化の指標として広く用いられている.機能の詳細はこれまであまり明らかにされていないが,炎症局所に浸潤する炎症細胞のほとんどがCD69を発現していることから,さまざまな炎症反応の誘導・維持に重要な役割を果たしていると考えられる.著者らはこれまでに生体内でのCD69分子の役割を解析する目的でCD69ノックアウトマウスを作製し,疾患との関わりの解析を進めてきた.その結果,CD69ノックアウトマウスでは関節炎やアレルギー性喘息が起きないことを見出した.アレルギー性喘息は抗CD69抗体の投与でも抑制され,治療効果が認められた.CD69分子はその他の炎症性疾患の発症にも関与している可能性が高く,難治性の炎症性疾患に対する新規治療法の開発において新しいターゲット分子になる可能性が示唆された.

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© 2010 日本臨床免疫学会
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