日本臨床免疫学会会誌
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総説
免疫調節薬サリドマイド:薬理学的効果とその適応
安井 耕三
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2010 年 33 巻 5 号 p. 229-233

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抄録
  サリドマイドは1950年代に鎮静催眠薬・不眠薬として開発され,日本を含め多くの国で市販された薬剤である.その後1962年に催奇形性が明らかとなり,使用が禁止された薬剤であるが,その後TNF-α産生抑制作用および種々の抗腫瘍・免疫調節作用が判明し,多発性骨髄腫やハンセン病(とくに有痛性の結節性紅班),MDS(骨髄異形成症候群)・AIDS・GVHD(移植片対宿主病)・膿皮症などに使用されその臨床効果が認められている.とくに多剤無効の難治性の炎症性疾患群に対し,薬剤として認可をしなかった唯一の国である米国のFDAが1998年認可し,薬効が確認・再評価されている.本稿ではサリドマイドの免疫系への作用について概説し,筆者らの小児患者を対象とした臨床研究の成果を紹介した.
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© 2010 日本臨床免疫学会
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