抄録
62歳女性.2006年1月咽頭痛,発熱のため近医受診.感冒の診断にて処方受けるも次第に肩関節,肘関節および手指,足趾関節に疼痛・発赤・腫張が出現,結節性の皮疹も四肢に出現したため当院受診.炎症反応陽性および抗ストレプトリジン-O抗体(ASO) 411 U/mlと高値であり非ステロイド性解熱消炎鎮痛薬(NSAID)にて経過を見るも改善なく10日後,外来再度受診.炎症反応の増悪およびASO 2300 U/mlと前回外来受診時と比較し明らかに上昇あり.多関節炎,皮疹,炎症反応高値およびASOの経過中の上昇からリウマチ熱と診断.NSAIDに加えプレドニゾロン(PSL) 10 mg/dayおよびトシル酸スルタミシリン開始.しかし1週間後の再診にて関節炎,炎症反応の改善に乏しく,胸部聴診にて以前の外来では認めなかった心雑音を聴取.心エコー上,僧帽弁逆流を認め心炎の合併と診断.PSL 40 mg/日へ増量したところ速やかな関節炎,皮疹,心雑音の改善とともに炎症反応に加えエコー所見も改善を認めた.昨今,衛生環境の整備,抗生剤の使用によりリウマチ熱の報告例はほとんどなく,さらに新たな心雑音の出現より心炎の存在を診断し得た貴重なリウマチ熱の一例と考えられた.