日本臨床免疫学会会誌
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6学会合同特別シンポジウム
6学会合同特別シンポジウム1-2  生体4Dイメージングによる免疫炎症・骨破壊の実体的解析とその臨床免疫学への応用
石井 優
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2012 年 35 巻 4 号 p. 266

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抄録

  破骨細胞は単球・マクロファージ系の前駆細胞からできる多核巨細胞で,「骨を貪食することに特化したマクロファージ」である.骨組織では常に,破骨細胞によって古い骨が壊されて,間葉系の骨芽細胞によって新しい骨が作られている.炎症などによりこのバランスが崩れて骨吸収が亢進すると,関節リウマチでの骨破壊につながる.生体内で最も硬質の組織である骨を破壊・吸収することのできる唯一の細胞種である破骨細胞は,これまでに分化・成熟するために必須のサイトカインや,シグナル伝達・転写制御などについて重要な基礎的研究が数多くなされてきたが,破骨細胞のin vivoでの動態・機能については依然として謎が多かった.これは,骨の中は硬い壁に囲まれた金庫の内側のようなもので,破壊せずに内部を観察することが極めて困難であったためである.演者は最近,多光子励起顕微鏡を駆使した特殊な観察系を立ち上げることにより,骨組織・骨髄腔の内部を生きたままの状態で「非破壊検査」することに世界に先駆けて成功した.本講演では,骨組織のライブイメージングの原理と方法論を概説するとともに,骨の内部を見ることができるようになって何が新たに分かったのか,特に破骨細胞の動態と機能・および免疫細胞によるその制御機構にフォーカスを当てて解説する.また,これらライブイメージングを元にした新しい研究トレンドの臨床免疫への応用性についても議論する.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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