日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム1-1  中枢神経系への免疫細胞の侵入メカニズム
村上 正晃
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2012 年 35 巻 4 号 p. 272

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抄録

  多発性硬化症は中枢神経系の自己免疫疾患でその発症には自己反応性CD4+T細胞,特にIL-17を産生するTh17細胞やIFNgを産生するTh1細胞が関与することが示唆されています.私たちは,活性化CD4+T細胞に依存する多発性硬化症モデルやリウマチモデルの解析からこれらの病態形成には非免疫細胞にIL-6とIL-17刺激後に形成されるIL-6のポジティブフィードバックループ:IL-6アンプが重要であることを発見しました(Sawa et al. J.E.M. 2006 & Ogura et al. Immunity 2008).さらに,IL-6アンプは分子生物学的には1型コラーゲン陽性細胞に存在するNFkBとSTAT3の同時活性化で,機能的にはケモカインの局所の過剰産生機構,病理学的には局所炎症の誘導機構であることを示してきました(Murakami et al. J.E.M. 2011 & Murakami and Hirano Frontier Immunol. 2011).最近,中枢神経系の血管内皮細胞にて形成される血液脳関門に形成される自己反応性T細胞を含む免疫細胞の侵入口が過剰な神経刺激にて誘導されるIL-6アンプの過剰な活性化で生じることを発見しました(Arima et al. Cell 2012).本発表では,免疫細胞の中枢神経系への侵入口の形成とその分子メカニズムを自己反応性T細胞の侵入を例に解説します.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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