日本臨床免疫学会会誌
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分子標的治療薬のエビデンス・レビュー2012
分子標的治療薬のエビデンス・レビュー2012-2  サイトカインを標的とした生物学的製剤
渥美 達也
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2012 年 35 巻 4 号 p. 288

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抄録

  1998年,TNFの可溶性受容体であるエタネルセプトが米国で抗リウマチ薬として承認された.ほどなくキメラ化抗ヒトTNF抗体であるインフリキシマブも承認され,生物学的抗リウマチ薬の時代がはじまった.いわゆるドラッグギャップの時代を経て,ようやく我が国でも生物学的製剤が使用されるようになり,今年で10年目を迎えた.抗TNF薬の登場により,それまで考えられないような劇的な関節炎の改善効果,予想を大きく上回る関節破壊の抑制効果や骨病変の改善までもが報じられるようになった.そして,現時点で関節リウマチに対して使用可能な生物学的製剤は6剤にまで増えた.これらの薬剤をリウマチ専門医が選択して使用するために必要なのが,世界に積み重ねられたエビデンスの理解である.エビデンスを評価するために必要なのは,そのもとになった研究の背景,目的,参加した患者のプロフィール,統計解析を正しく理解することにある.発表される二次評価項目の一部の図だけを見てそれがエビデンスであると論ずると,ピットフォールに陥る可能性がある.
  このレクチャーでは,おもに2012年に発表された論文,学会発表のなかから,背景の情報が十分に得られて「批判」に耐えられると考えられるエビデンスを紹介し,その真価を議論したい.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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