日本臨床免疫学会会誌
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ランチョンセミナー
ランチョンセミナー4  関節リウマチにおける生物学的製剤治療の最適化をめざして
桑名 正隆
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2012 年 35 巻 4 号 p. 297

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抄録

  近年,関節リウマチの治療体系が飛躍的な進歩を遂げた.病態に関わるサイトカインや免疫担当細胞を標的とした生物学的製剤の普及がこの変革の推進力となったことは間違いない.生物学的製剤が日本に登場してから8年が経過し,TNF阻害薬,IL-6阻害薬,T細胞共刺激阻害薬の計6剤の使用が可能になっている.しかし,これら製剤を用いても全ての症例で寛解が得られるわけでない.最大限の効果を得るためには,生物学的製剤の特性を理解するとともに,個々の症例のサイトカイン動態を理解する必要がある.特に投与量,間隔の調整が可能なインフリキシマブについては,病態に基づいた適切な投与調整を行う必要がある.また,生物学的製剤の安全使用のためには感染症を中心とした重篤な副作用に対する十分な管理が必要で,①投与前の結核,B型肝炎,ニューモシスチス・イロヴェチなど潜在的感染のスクリーニング,②重篤感染症のリスク因子評価,③予防投与,ワクチン接種を含めた予防措置,④投与後の定期的なモニタリング,⑤副作用発生時の迅速な対応を徹底する.生物学的製剤治療の最適化には,リスク・ベネフィットバランスを考慮した上でのきめ細やかな診療が求められる.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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