日本臨床免疫学会会誌
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イブニングセミナー
イブニングセミナー  関節リウマチにおける新たな治療戦略~骨・関節破壊の進展抑制の観点から~
田中 良哉
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2012 年 35 巻 4 号 p. 298

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抄録

  関節リウマチ(RA)は30-50歳台の女性に好発する滑膜炎を主座とする全身性自己免疫疾患である.関節破壊による変形は発症早期から進行して不可逆的な身体機能障害を齎すため,早期からの適正な診断と治療が必要である.2010年に公表された新分類基準は,破壊性で,遷延化する関節炎を分類するという基本的概念に基づいて策定された.また,関節破壊や機能障害が生じない治療目標として寛解基準が採用された.さらに,寛解という目標達成までの治療指針としてtreat to targetが提言された.日本でもMTXは16 mg/週まで増量が可能となり,通常量が使用できるようになった.日本で実施された生物学的製剤市販後調査では,MTX>8 mg/週の実臨床に於ける安全性と有効性のエビデンスが得られた.TNF阻害薬であるアダリムマブでは,十分量のMTXとの併用により高い治療効果,臨床的寛解導入率が得られ,関節破壊の制御も同様であった.さらに,臨床的寛解を維持することにより,構造的寛解と機能的寛解の長期間達成が可能となり,他の内科疾患と同様に治療のエンドポイントを生命予後に置くことも目標となってきた.さらに,バイオフリー寛解を目指す治療が展開されている.本セミナーでは,アダリムマブを中心に劇的に変化しているRAの新たな治療戦略を概説する.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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