日本臨床免疫学会会誌
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Workshop
W1-2  眼疾患のゲノムワイドな相関解析および感受性遺伝子機能解析
水木 信久
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2012 年 35 巻 4 号 p. 299b

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抄録

  多因子性疾患は特定の環境的要因のもとに,複数の遺伝的要因が複雑に関与して発症すると考えられ,これら要因の詳細な解析は,疾患の分子遺伝学的発症機序の解明に大きく貢献することが期待される.しかしながら,多くの疾患において,その発症を左右する遺伝的要因(疾患感受性遺伝子)は未だ明確には決定されていない.ゲノムワイド相関解析(genome-wide association study: GWAS)とは,全ゲノム領域を網羅するように設定された多型および変異を用いて系統的に遺伝子解析を行うものであり,疾患の遺伝要因の解明に強力な検出力を持つアプローチ法である.現在,100以上の多因子性疾患がGWASにより研究され,1,000本を超えるGWAS研究に関する論文が出版されている.すべてのGWAS研究が必ずしも成功しているとは言えないが,GWASの成果は多因子性疾患の複雑な病態を解明する上で非常に有用な情報を提供し,疾患の新たな予防法および治療法の道を拓くと期待される.
  近年,私たちは,複数の多因子性眼疾患を対象に,疾患感受性遺伝子の網羅的な同定を目指してGWASを行っている.本講演では,私たちのGWASの最新の成果および進捗を述べるとともに,同定された遺伝情報をもとに,現在私たちが行っている,感受性遺伝子のKOマウスや強発現Tgマウスなど,感受性遺伝子の機能解析の戦略と進捗についても併せてお話ししたい.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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